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瀧川鯉八さん インタビュー

瀧川鯉八さん インタビュー

鹿児島出身。1981年3月27日生まれ。



いまの高座の手ごたえは?
12年噺家やってますけど・・・いちばん良かったです(笑)嚙んだり間違ったりもしましたけど、いつになく「そんなもの、かまわない」って、細かいミスも気にせずできました。うまくできたからいいってことではないのでね。大きな心で心地よくできました(笑)



━きょうの演目「俺ほめ」に登場するマーちゃんは実在するんですか?
マーちゃんは別に誰でもいいんです。みんなに投影できるように。承認欲求の時代ですから(笑)ほめてもらいたいって気持ちはみんな誰でもあると思うので、時代を反映してます。大人はみんな「ほめて」って人に言えないから、僕が解放してあげているんです。



━プロフィールは?
18歳まで鹿児島にいて、大学入学を機に上京しました。卒業したあとは決まった仕事には就いてなかったんですけど、アルバイトとかしながら25歳で入門しました。



━入門のきっかけは?
昇太師匠の名前は存じ上げていたので、昇太師匠の落語会を見に行ったらたまたま僕の師匠が一緒に出ていて。あまりの面白さに雷に打たれました。僕も別に仕事もしてなかったので「もうこの人に弟子入りしよう!」と。一目ぼれしてすぐにお願いしに行きましたね。法政大学の落語研究会では落語を特別好きになるってことはなかったんですけど、卒業してプラプラしてるときにCDで落語を聞きながら好きになっていったかんじですね。ちょうどそのタイミングで師匠を見て、ビビっときました。CDで聞いていたのは上方の米朝師匠とか、そのお弟子さんの枝雀師匠。僕も鹿児島なのでもしかしたら西の感じのほうが入りやすかったのかもしれないですね。米朝師匠と枝雀師匠っていうのは言葉もすごくわかりやすくて、初心者の方には必ず薦めます。そこから志の輔師匠とか聞いて、「あ、落語って面白いな」って思って。なので、はじめから古典落語が好きだった類ではないですね。最初はちょっと難しいなって思っていたので。



━2015年には渋谷らくご大賞を受賞ということで。
2015年は俺の年だと思ってました(笑)それからは緩やかに右肩下がりだったんですけど、きょうベストが出たんでよかったです(笑)



瀧川鯉八さん



━趣味、特技は?
三線を習い始めました。最近、海外進出も含めて南のほうに行く機会があって。



━海外で落語ですか?
そうです。A太郎兄さんとは2016年にイタリアで落語やりましたね。イタリア語でネタを暗記して。人間の口って、その人種に合った言語っていうのがあるらしいんですよ。で、僕の口のつくりとか、舌の長さとか、歯並びとかは、日本語よりもイタリアの言語のほうが合うっていうのを、日本で勉強したときに先生に言われてたんですよ。「“もちゃもちゃ”してるかんじがイタリア語の方の発音に近いね」って。それで実際に覚えて行ったら現地のイタリア人から「めちゃくちゃ発音良いね!でも落語は超つまんないね!」って言われました。だから、そのくらい僕の言語が届いたってことなんですよ。面白いか面白くないかがわかるくらい。だから“あぁよかった僕の言語届いたんだ”って(笑)



━お客さんはどういう反応をするんですか?
これがですね!僕は自分で作った新作落語をやっていて、ターゲットは自分同世代から前後10歳くらい。だからざっと言って20~50歳手前くらいの方なんですけど、イタリアでもおじいちゃんおばあちゃんには全くウケなかったですね(笑)ただ、イタリアの若い人は日本と同じところでウケてくれました。イタリア人は褒めるの好きだから「俺ほめ」やればよかったですね。



━で、話を三線のほうに戻したいんですが・・・(笑)
あ、そうですね(笑)やっぱり二ツ目も人多いし、競争の中にいるんで、常に押し出しの強い芸をしなきゃいけないってとらわれがちなんですよ。自分では競ってなくてもそうなってくるんで。それで南国に行ったときに、ゆったりした感じっていいなと思って。僕の好きな師匠もゆったりした芸風なんで、その南国で原点回帰みたいなことを感じて。で、やっぱり沖縄の文化って豊かだからそれも学びたくて。だから三線をできるようになってから沖縄のおばあとかに会いに行こうかなと思ってますね。教室には毎週1回行くんですけど、それもまだ始めて3ヶ月くらいです。



━他には趣味はありますか?
純喫茶巡りですかね。各地の純喫茶に行くっていう。僕は気づいてしまったんですよね。これぜひ参考にしていただきたいんですけど、国内旅行に行くときってどこ行くか迷うじゃないですか。普通ってガイドブックとか買って見ますけど。僕、純喫茶と路面電車が好きなんですよ。別に鉄道オタクとかじゃないんですけど、路面電車だけが好きなんです。で、路面電車って昔は全国にあったんだけれども、車の発達によって無くなっていって、いま全国で13箇所しかないんです。それを見に行ってたら気づいたんですけど、路面電車が今なお残っているっていうことは、昔の文化を大切にしている街ってことなんですよ。昔の街を大切にしているってことは東京とかと景色が全く違うんです。ってことは、昔ながらの純喫茶ももれなくあるんです。で、そういうところは食べるものも地のものを大切にしているって気づいたんです。



━なるほど。その13都市はすべて回られたんですか?
それをいま回っているところで、これまでに7都市行きました。制覇を目指しているんですけど、この間は函館行って、広島行って、長崎も行きましたね。長崎はいちばん感動して、長崎の新作落語を作りました。漢字で『長崎』。その『長崎』を長崎でやったら、生涯でいちばんウケましたね。僕は長崎の人じゃないのに長崎に恋して全編長崎の落語を作ったんですよ。その土地の固有名詞とかもそのまま使って。だから長崎の人が聞いたら、「長崎の出身じゃない人がこれをやってるっていうことは、我々へのラブレターなんだ!」ってなっているわけですね。そしたら向こうも、人から好きになられたら100%の愛で返してくれるんですよ。だからその高座中が両想いなんです。愛の溢れる、ハッピーな、全編笑いに包まれるという!まぁ、それはきょうやってないんですけど・・・(笑)



━ぜひ次は『長崎』をお願いします!純喫茶では何か召し上がるんですか?
ホットケーキは必ず食べます。最近のパンケーキじゃなくて、昔の安い感じのホットケーキを頼みますね。あとはやっぱり純喫茶のいいとこっていうのは、学生の団体とかがいないんで、ゆったりした時間が流れているんですよね。おじいちゃんとかおばあちゃんがいて。だからゆったりした空気が好きってところで共通していますね。ここでやっと三線とつながりましたね。



━他のお笑いの方を見る機会は多いですか?
あんまり見ないですね。今は情報が多いんであんまり見ないようにしていて、それでも入ってくる情報は確かなんだろうなと思って見るようにしています。自分から拾いに行くと情報が多すぎてキリがないので。テレビ自体は好きです。映画が昔から大好きで、落語にも映画的な手法を取り入れたり。きょうの2本は短めなのでそういうのはないんですけど、それこそ『長崎』とかはロードムービーみたいにしてます。



━いちばん影響を受けた映画は?
それを絞るのは非常に難しいんですけど、フィンランドのカウリスマキっていう監督がずっと好きで。カウリスマキが日本に来たら必ず行くっていうバーによく行きます。あとは最近でいうと、「あ、これは素晴らしい脚本だな」と思ったのは、黒澤明の『椿三十郎』ですね。もちろん映画史に残る脚本だけど、思った以上に世間的に焦点が当たってなくて。落語的だったし、面白いし、品のいい笑いだったし、脚本のつくり方がパズルのようにハマっていく。短さも程よいですし。だから僕も落語は常に短くしようと思っています。落語家の悪い癖って、長くやっちゃうってのがあるんですよね。人間の集中力ってそんなに持たないんで。



━視聴者に一言お願いします。
僕を聞かずに死ぬと損しますよ、と言いたいですね。僕を知らないってことは人生損してますよ、と。



━・・・わかりました(笑)
あれ?ちょっと変えようかな?えーっと・・・次は僕だ。って書いてください。2018年のNextBreakerは俺だ。だから乗り遅れないでね~って(笑)


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