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2019年05月21日公開 「ひやおろし」といえば秋!日本酒で季節感を味わおう

「ひやおろし」といえば秋!日本酒で季節感を味わおう

日本酒が好きな人は、居酒屋で飲むだけではなく家でも晩酌で日本酒を楽しむという人も多いのではないでしょうか。そこで酒屋で日本酒を買うことになるでしょうが、秋になると酒屋の店先で見られるようになるのが「ひやおろし」という文字です。よく見る文字ですが、実際にどのようなお酒の種類なのか知っている人は少ないのではないでしょうか。この記事では、「ひやおろし」とはどのような種類のお酒なのか、そしてどのような飲み方をすれば楽しめるのかなどを詳しく解説していきます。日本酒を楽しむ際の参考にしてください。

「ひやおろし」という名前の由来は?

まず、「ひやおろし」という名前の由来についてです。そもそも日本酒造りは7月1日に始まり、翌年の6月30日で終わるのが基本になります。そのため、6月30日までの日本酒が新酒と呼ばれ、それ以降は古酒と呼ばれる種類の日本酒です。そのうえで、日本酒造りの工程について説明します。日本酒は秋から冬に仕込みを始めて、翌年の3月ごろに出荷するのが一般的です。

搾りから貯蔵、瓶詰めの過程のなかで、発酵を止めるために火入れをする工程があります。ひやおろしの場合には、搾りから貯蔵の間までに低温での火入れを1回は行うことになりますが、瓶詰めの前の火入れは行わないのが特徴です。これによって、味や香りを安定させることが可能になります。また、腐敗を防ぐために火入れをしてはいますが、春から夏にかけてじっくりとゆっくり時間をかけて熟成させてから出荷するというのがひやおろしの特徴です。ひやおろしという言葉は、冷やのまま卸す酒なので「ひやおろし」と呼ばれています。

ひやおろしは、火入れを一度行ってから貯蔵したお酒ということですので、冬に絞ったまま卸したような生酒がフレッシュな味わいであるのに比べて一度火入れを加えた後、貯蔵庫で夏のあいだ寝かせているのが特徴です。そのため、時間が経つにつれて程よく熟成がされています。その結果、絞りたての際の粗さが取れて味わいにまろやかな丸みが出るだけではなくて、味わい深さを楽しむことができるのです。

生酒とも二回火入れとも異なる味わい

次に、「ひやおろし」の味わいについてです。味は「生酒」とも「二度火入れ」とも異なります。「生酒」は一度も火入れをしていない日本酒で、フレッシュで爽やかな味わいを感じられる特徴がある一方で、瓶詰めをした後も発酵が進むために香りや味が安定しづらいのが特徴です。

次に「二回火入れ」について、貯蔵前にも瓶詰め前にも火入れをしているので、味が落ち着いていて角が取れているのが特徴といえます。どのような食事とも相性が良い一方で日本酒としての主張はあまり感じられないです。その点「ひやおろし」は、貯蔵前にだけ火入れ(加熱殺菌)をしているので、春から夏にかけてゆっくりと熟成が進みます。そのため、程良く熟成されたような丸みのある深い味わいという特徴があります。

ひやおろしと書かれた日本酒とそうでない日本酒。この違いは一体どこにあるのでしょうか。この違いを理解するには、まず日本酒がどのようにして造られているかについてざっと理解することが必要です。

まずは、日本酒造りの簡単な作業工程について。かなり大雑把に説明しますが、初めに原料である米に処理をかけていきます。精米→洗米→浸漬→蒸米。 その後、酒母(蒸米+酵母+麹+水)と麹(蒸米+麹菌)を混ぜて、醪を仕込んでいきます。醪とはそれらがすべて混ざり、かつ発酵によってアルコールなどが発生したどろどろの液体のことであり、これを目の粗い布に入れて搾ることによって、布の中には固体が残り、濾過された液体=日本酒だけが取り出せるのです。

このあと、出荷の作業のために貯蔵、瓶詰めという作業を行っていくのですが、一般的な日本酒は秋口から冬にかけてこの工程を行い、翌年の3月頃までに全工程を終えて出荷を行います。それに対して、ひやおろしは、搾り終えた日本酒をそのまま夏まで貯蔵し、夏の終わりから秋にかけて瓶詰めを行い出荷されるのです。

日本酒の1年は7月1日に始まり6月30日という期間で年度が設定されているので、例えば、2016年の3月に出来上がったお酒は6月30日までに売らなければ新酒とは言えません。7月1日を超えてしまうと、同じ2016年に製造していても新酒と呼ぶことはできなくなるので、ひやおろしは一般的な日本酒が新酒であるのに対して、古酒という部類になります。

また、一般的な日本酒は、搾り→貯蔵→瓶詰めの間に火入れという作業を行います。火入れとは日本酒の中に生息している菌を殺菌することによって味を整えることを言いますが、ひやおろしは、火入れの回数が一般的な日本酒とは異なります。詳しくは「生酒って...何!?今さら聞けない日本酒の基本!生酒、生貯蔵、生詰めの違い」を参照していただきたいのですが、おさらいの意味も込めてこちらでも軽く触れたいと思います。

搾り→火入れ→貯蔵→火入れ→瓶詰め=普通酒

搾り→火入れ→貯蔵→×××→瓶詰め=生詰め

搾り→×××→貯蔵→火入れ→瓶詰め=生貯蔵

搾り→×××→貯蔵→×××→瓶詰め=生酒

ひやおろしは春に火入れをして夏まで貯蔵、その間にじっくり熟成させて夏の終わりから秋口にかけて火入れを行わずそのまま瓶詰めをしますので、生詰めに当たります。火入れを行うと風味や香りが安定したり、腐敗が進んで飲めなくなるのを防いだりできますが、その分、日本酒らしい深み、米の旨みなどが消えてしまうことがあります。 冬に仕込んだ日本酒が傷まないように火入れを行い、春から夏にかけてじっくりと熟成させた旨みを殺さないために瓶詰め前の火入れをしないことによって、日本酒の旨みをダイレクトに味わえるのがひやおろしのいいところなんですね。

3種類の「ひやおろし」

「ひやおろし」には「夏越し酒」「秋出し一番酒」「晩秋旨酒」の3つの種類があります。まず1つめの夏越し酒について、 夏越し酒は8月の終わりから9月頃にかけて販売されるひやおろしの日本酒です。味の特徴は、軽くすっきりとした味わいになります。

次に、秋出し一番酒です。この日本酒は、 涼しくなった10月ごろに販売されるひやおろしの日本酒となります。夏越し酒に比べると熟成が進んでいるため、風味や香り、のどごしのバランスが良いのが特徴です。最後に晩秋旨酒は、やや寒くなってきた11月ごろに販売されるひやおろしの日本酒になります。より熟成が進んでいるので、味と香りに深みが増しているのが特徴です。

秋の味覚との相性が抜群

「ひやおろし」は秋の味覚との相性が素晴らしいといえます。その理由について、ひやおろしは瓶詰めをする前に火入れをしていないので、米の味や香りが残っているため程良く角が取れていて、食事をしながら飲むのに適しているということです。そのため、サンマや松茸などといった秋の食材との相性が良くなります。また季節の変化とともに、ひやおろしの味も変化していくため醤油や味噌を使った日本料理との相性が良いのが特徴です。つまり、原材料が共通しているので食事の邪魔をしないということです。

「ひやおろし」はどう飲めばいい?

「ひやおろし」の美味しい飲み方について、ひやおろしは販売の時期によっておすすめの飲み方が異なります。また、種類の違いについてはラベルには書かれていないことが多いため購入時期に合わせて飲み方を変えるようにしましょう。夏越し酒はみぞれ酒か冷酒、熟成が進んだ秋出し一番酒は冷やか熱燗、晩秋旨酒はぬる燗か熱燗がおすすめです。このように飲み方は変化してくるので、季節の変化とともに熟成も進む「ひやおろし」は、食事との相性を考えて飲み方を変えられるメリットを十分に生かして楽しむのがいいでしょう。

まとめ

前述のように「ひやおろし」は日本酒らしい味や香りとともに季節感も味わえるお酒です。そのため、ぜひ秋の味覚と共に味わってみてはいかがでしょうか。

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