
「日本酒が大好き」「毎日1合は呑む」という人も、日本酒のくわしい種類や特徴について聞かれると、はっきりと答えられる人はそう多くはないかもしれません。日本酒には多くの種類があり、さらに「貯蔵期間」や「味・香り」によって細かく分類されています。難しく感じるかもしれませんが、種類や特徴を知ることで、今よりずっと日本酒を楽しめるようになるでしょう。ここでは、日本酒の代表的な種類や分類方法について解説します。
日本酒には、大別して「特定名称酒」と「普通酒(一般酒)」の2種類があります。さらに「特定名称酒」には、使用原料や精米歩合・製造方法の違いによって、「純米酒・4種類」「本醸造酒・4種類」の合計8種類に分類されています。「純米酒」は「純米大吟醸酒・純米吟醸酒・特別純米酒・純米酒」の4つ、「本醸造酒」は「大吟醸酒・吟醸酒・特別本醸造酒・本醸造酒」の4つに分けられています。
そもそも、「吟醸造り」とはどのような酒を意味するのでしょうか。国税庁では、「吟醸酒」の定義を「吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造すること」と定めています。「吟醸」という言葉自体は、すでに明治期の文献に「吟醸酒」「吟醸物」として記述されています。その後、酒造りの価値や技を高めるために「吟味して醸造した酒」を意味する用語として広がり、世間一般に定着していきました。
日本酒の特定名称は、この製造方法とあわせて原料となる米をどの程度精米するかで変わってきます。これを「精米歩合(玄米を削って残った部分の割合)」といいます。精米歩合の数値が低いほど、華やかな香りのすっきりとした上質な酒に仕上がり、逆に数値が高くなるほど重さやくどさ・米の香りの粗さが目立ってくるものです。当然のことながら、精米歩合が低く高品質になるほど価格も上がっていきます。
「吟醸」を名乗るためには、40%以上の米を削り、精米歩合を60%以下にしなければなりません。つまり、この数値こそが国税庁が定義する「よりよく精米した白米」というわけです。厳しい数値ですが、「吟醸酒」の特徴の雑味を抑えたまろやかな口当たりと「吟醸香」とも評される香り高さは、まさにこの手間と技術にかかっています。「吟醸酒」が高級酒の代名詞になる理由は、精米歩合を低くするための手間とコスト、さらに長時間低い温度で発酵させるという製造技術の難しさにあるのです。
「純米酒」とは、米と米麹だけで作られた酒をいいます。まず、「純米大吟醸酒」は原料米の精米歩合が50%以下(50%以上の米を削り、精米歩合50%以下にしたもの)と決められています。「固有の香味と色沢が特に良好なもの」とされ高級酒です。次に「純米吟醸酒」は、精米歩合が60%以下の吟醸酒です。「特別純米酒」と同じ精米歩合が義務づけられているため、酒質に差がないものもあります。
3つ目の「特別純米酒」は、精米歩合が60%以下または特別な製造方法で作られた「純米酒」と規定されており、原材料の種類で酒質に違いが出てきます。最後の「純米酒」は、日本古来の酒で、精米歩合による規定はありません。「純米醸造酒」とも呼ばれ、濃厚な味わいや、原料米の精白度の高低によっておいしさに違いが出てくることが特徴です。「特別純米酒」「純米酒」ともに、「固有の香味と色沢が良好なもの」と定められています。
「醸造酒」は、醸造用のアルコールを添加したものを指します。添加する醸造用アルコールの量は、白米の総重量の10%未満までに抑えなければなりません。醸造用アルコールとは食用に使われるアルコール分(エタノール)のことで、原料には主にサトウキビが用いられています。醸造用アルコールを添加することで、日本酒特有の華やかな香りを引き立たせてくれるのです。さらに、日本酒に含まれている糖分や雑味をアルコールが抑えてくれるので、すっきりとした軽快な飲み口を味わえるようになります。
まず「大吟醸酒」とは、精米歩合が50%以下の吟醸造りで「固有の香味と色沢が良好なもの」を指します。醸造アルコールはうまい酒造りのために使うので、添加量は少ないです。2つ目の「吟醸酒」は、精米歩合は60%以下、「大吟醸酒」と同じく醸造アルコールの添加は少量です。3つ目の「特別本醸造酒」は、精米歩合が低く60%以下、または特別な製造方法によるものと規定されています。中には醸造アルコールの添加がはっきりとわかる酒もあるようです。4つ目の「本醸造酒」は、最も精米歩合が低く70%以下です。さらに、特徴として原料米1トンあたり120リットル以下の醸造用アルコールが添加されています。
「普通酒」は、「特定名称酒」に分類されない日本酒のことです。「普通酒」というのはあくまで通称です。店頭では「普通酒」という表示はありません。一般的に「日本酒」や「清酒」といった名称で販売されています。「特定名称酒」と比べて、製造方法のほかに原材料にも違いがあります。「普通酒」は、米・米麹・水のほかに、酒粕・焼酎・醸造用糖類・醸造アルコールといった副原料を使って製造されているのです。スーパーやコンビニで手軽に買えるカップ酒やパック酒の約80%が「普通酒」であり、最も身近なお酒といえるでしょう。
相対的に味が淡く香りも低いです。しかし、消費者のニーズに応えるべく各社が趣向や技術を競って製造している分野ですから、風味や口当たりのバリエーションが豊富です。炭酸・果汁をつかったもの、珍しい香りづけをしたフレーバータイプなど、実にさまざまな種類が販売され、流通量・消費量ともに最大です。自分の好みに合ったお酒を手ごろな価格で飲めることが、「普通酒」の大きな魅力かもしれません。
酒は貯蔵期間の長さによっても分けることができます。まず、「製成されてから加熱処理前の状態、または製成後半年ぐらいの期間」の酒を「新酒」と呼びます。具体的には、酒造年度(7月1日から翌年6月30日)内に作られて出荷された酒のことです。普段多くの人が飲んでいる日本酒は、10月から3月の寒い時期に造られています。この期間に造られたものが、ひと夏を越して秋に出荷された場合は「新酒」とは呼びません。
「新酒」にはこのような定義があるものの、少しあいまいな使われ方をしていることも事実です。例えば、「その年にとれた米で、一番にしぼられた酒」や、「醸造したままで、火入れをしていない酒」「その年に取れた米で醸造して、春に出荷する酒」なども「新酒」として扱われているのです。「新酒」の特徴は、何といってもみずみずしく弾けるようなフレッシュさ。この喉ごしのよさは、日本酒が苦手な人にも飲みやすいのではないでしょうか。
「新酒」と対するのが、製成後1年以上貯蔵された「古酒」です。「古酒」といえば、ワインや泡盛を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、日本酒にも明確な定義はないもの、「古酒」といった考えは歴然と存在しているのです。現在では2年以上熟成させたものは「太古酒」や「熟成酒」といい表しています。長期熟成酒研究では、「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」を「熟成古酒」と定めているそうです。
「古酒」の歴史は、実に鎌倉時代にまでさかのぼります。しかし、明治から昭和にかけて「古酒」には「造石税(ぞうこくぜい)」という重い酒税が課せられたことにより、「古酒」造りは次第に廃れていきました。その後も、第二次世界大戦時の食料統制で米の使用が制限されたため「古酒」の復活は望めませんでした。転機は、昭和29年に訪れます。「造石税」から「蔵出税」へと酒税法が改正されたのです。これにより再び「古酒」に取り組むメーカーが出てきて現在に至ります。
「古酒」と同義で語られることも多いのが「長期貯蔵酒」です。文字通り長期間にわたり貯蔵・熟成させた日本酒で「長期熟成酒」とも呼ばれています。昔、日本酒は長期の熟成に向かないとされていましたが、技術の進歩でそれが可能となってきました。「古酒」や「長期貯蔵酒」は、「新酒」にはない複雑な風味や香気が味わえます。色合いも琥珀色やべっ甲色へと変化し、味わいはキャラメルやバター、キノコのような濃密さや苦みが感じられるようになります。この特性を生かして、肉や中華料理などこってりした調理によく合い、食前酒や食後酒に楽しむ人が多くなっています。
日本酒は、味や香りの印象でも「薫酒」「爽酒」「醇酒」「熟酒」の4タイプに分けられています。同じ酒質でも、味や香りの強さは蔵元によって変わってきます。銘柄は数えきれないほどありますが、どの日本酒であれ、この4種類のいずれかに当てはまります。
「大吟醸」に代表される、甘い果実や花のようなフルーティな香りが楽しめるのが「薫酒」です。非常に飲みやすいため日本酒初心者や女性にも人気で、祝い酒やパーティー・贈答品にも喜ばれています。すっきりと爽やかな「爽酒」は、「普通酒」や「本醸造」に多くなっています。日本酒の中でも比較的安価であるのもおすすめポイントです。日本酒に慣れてきたら、辛口の「本醸造」にもチャレンジしてみましょう。キリッとした後味は、日本酒ならではの大人の味です。冷酒でも熱燗でも一年中楽しめますよ。
コクと香りが特徴の「醇酒」には、純米酒系が当てはまります。米の産地や使用されている水の品質によっても味が異なり、米のうまみがストレートに反映されます。リーズナブルなものも多いので、毎日の晩酌にぴったりですね。最後に、スパイシーでとろりとした独特の味わいがクセになる「熟酒」は、「古酒」や「熟成酒」の独断場です。成分の酸化・分解といった化学反応で形作られる複雑な舌触りや香りは、他のお酒では決して味わえません。
日本酒は、日本人の豊かな感性と優れた技術を表すかのように、さまざまな観点から種類分けされていることがわかったのではないでしょうか。まさに、蔵元のこだわりと技術の結晶といえるでしょう。種類分けをひとつの目安として、ぜひお気に入りの日本酒を見つけてください。
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