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2019年04月23日公開 日本酒の味を決める酒米!種類による味の違いを知っておこう

日本酒の味を決める酒米!種類による味の違いを知っておこう

日本酒は米から作られていることは知っていても、日本酒の主原料となる酒米についてはあまり詳しくないという人も少なくないでしょう。酒米は、日本酒を作るのに適した米で、日本酒の味を決める重要な役割を担っています。そこで、酒米と普通の米とは何が違うのか、酒米にはどのような種類がありそれぞれどのような違いがあるのかを解説します。

酒米と普通の米はどこが違うの?

「酒米(さかまい)」は「酒造好適米」とも呼ばれ、その名の通り酒造りによく適した米のことです。おいしい日本酒になる米は、酒造りのために特別に開発されたものです。私たちがいつも白米として食べているものとは種類が違い、求められる特徴もまったく異なります。酒米に求められる特徴には、特に大事な3つがあります。「粒の大きさ」、「心白(しんぱく)の割合」、そして「醸造適正」です。

粒の大きさは、ある程度大きいことが必要です。日本酒を造るときには「精米」といって、米の表面を削り取る工程があるためです。どれくらい削るかは種類や銘柄によってさまざまですが、たとえば大吟醸酒であれば精米歩合は50%以下ですから、実に半分以上も削ることになります。このとき、米の粒が小さいと砕けてしまいます。そのため、酒米の粒には大きさが必要なのです。

心白の割合も、大きい方が酒造りに向いています。心白とは、米の粒の内側にある白くて不透明な部分のことです。米の表面には「デンプン層」といって、タンパク質や脂質を多く含んだ層があります。米を炊いて食べるときにはデンプン層の成分が旨味になるのですが、これが日本酒にするときには雑味のもとになってしまいます。そのため、酒造りでは精米によってタンパク質が少ない心白の部分を残し、表面を取り除いてしまうのです。また、心白には粘性が強いという性質があるため、心白の割合が大きい米は割れにくくなります。さらに、心白には醪(もろみ)によく溶けるという性質もあります。

醸造適正とは、酒造りのしやすさのことです。「麹(こうじ)」を造る際には、米を蒸した段階での水分量(蒸米吸水率)を繊細に調整しなければなりません。麹の菌糸が蒸米の表面から食い込むように根付き、白っぽく見える状態のことを「破精(はぜ)」と呼びます。よい麹を造りやすい酒米は「破精込み(はぜこみ)がよい」などといわれ、破精込みの良し悪しは酒米にとって重要な特徴です。

酒米の代表格・兵庫県の山田錦

数ある酒米の中でも、代表格とも言えるのが「山田錦(やまだにしき)」です。日本酒好きでなくても「いちどは聞いたことがある」というくらい有名な酒米です。山田錦は、大正12年に兵庫県の農事試験場で開発されました。現在では「酒米の王様」とも呼ばれ、日本で最も多く栽培されている酒米です。東北から九州にかけてさまざまな地域で栽培されていますが、品質は地域によって異なります。中でも兵庫県の吉川町・東条町・杜町東部で栽培されたものが、最高品質とされています。

山田錦は、粒が大きくその約80%が心白です。そのため、たくさん削っても割れにくく、タンパク質の含有量が少ないため雑味が出にくいという特徴があります。また、吸水性がよくて醪にも溶けやすいことから、破精込みがよく、質の高い麹を造ることができます。山田錦は、大吟醸酒などの雑味が少なく香り高い日本酒を造るのに適している酒米と言えます。

山田錦から造られた日本酒は、香り高い風味ときめ細かいまろやかなコクを併せ持つのが特徴です。それでいて雑味が少なくスッキリした仕上がりになるため、品評会に出すような日本酒の原料としても、多くの蔵元で選ばれています。

東の横綱・新潟県の五百万石

「五百万石(ごひゃくまんごく)」は、山田錦と肩を並べる酒米の代表格です。「菊水」と「新200号」の人工交配によって、新潟の気候風土に合うよう開発されました。新潟県の米の生産量が五百万石を突破したことが名前の由来になっています。米どころとして有名な新潟県を中心として主に北陸地方が生産地となっていますが、東北から九州にかけて広く栽培されており、日本一の作付面積を誇ります。麹を造りやすく、醪になっても溶けすぎないのが特徴で、醸造適正の高い品種です。また、蒸米になったときに適度な弾力性があり、機械化された製造工程でも扱いやすいといわれています。

五百万石は、繊細な製造工程において品質の安定した日本酒を造れることから、多くの蔵元の支持を得ている酒米です。五百万石から造られる日本酒は、端麗・辛口の味わいに仕上がります。山田錦の日本酒は芳醇なものが多いのに対して、五百万石の日本酒はキレががよくスッキリとしていて、クセが少ないです。飲み比べてみると味の違いがわかるでしょう。

寒冷地向きの酒米・長野県の美山錦

「美山錦(みやまにしき)」は、長野県を主な生産地とする酒米です。1978年に長野県内の農業試験場で突然変異として発見された、酒米としては比較的新しい品種です。北アルプスにかかる雪のように美しい心白があることから、「美しい山」ということで命名されました。寒さに強い性質があり、寒冷地や標高の高い山間部での栽培に適しています。この特徴から、長野県以外にも東北地方で広く栽培されています。硬さがあり、醸造するときに溶けにくい特徴があるため、さっぱりとした味わいの日本酒に向いているといわれる酒米です。

美山錦は、山田錦と五百万石に次いでトップ3に入る酒米としても知られています。美山錦から造られる日本酒は、五百万石と似てキレのあるスッキリ端麗な味わいに仕上がります。東北地方の蔵元で使われることの多い酒米です。

他にもある地域を代表する酒米

ここまで、トップ3と呼ばれる酒米を紹介してきました。これら以外にも、地方を代表するさまざまな品種の酒米が各地で生産されています。あといくつか、特徴的なものを紹介します。

「亀の尾(かめのお)」は、明治26年に山形県で生まれた酒米です。冷害があったときに生き残った稲をもとにして、選別・改良を加えていったのが亀の尾のルーツです。害虫に弱く病気になりやすかったことから、一時期は作り手が少なくなっていました。しかし、奥深い味わいの日本酒ができることから、近年は再び注目されるようになっています。

「出羽燦々(でわさんさん)」は、山田錦をルーツに持つ「華吹雪」と美山錦を交配させて1995年に誕生した山形県オリジナルの酒米です。山形県のオリジナル酵母「山形酵母」と相性がよく、山形県だけで栽培されています。出羽燦々から造られた日本酒は、キレのある端麗な味わいが特徴です。

「雄町(おまち)」は、江戸時代から続く伝統のある酒米です。山田錦や五百万石のルーツも、この雄町だといわれています。背が高い品種で、風に弱いため栽培が難しいなどの理由から、一時期は山田錦や五百万石に押されて絶える寸前になっていました。しかし、地酒ブームの影響もあり近年になって岡山県で再び栽培されるようになったという経緯があります。雄町から造られた日本酒は、力強い芳醇な香りとコクを持つのが特徴です。

まとめ

酒米は、日本酒造りに適した特別な米です。山田錦や五百万石、美山錦などが代表的なもので、これまでにも「名前くらいは聞いたことがある」という人も多いでしょう。このほかにも、気候や風土によって各地域でさまざまな品種の酒米が栽培されており、麹との相性によってもその特性は変わってきます。酒米の種類や特性は、日本酒の味わいを左右するものです。酒米の種類について知っておけば、日本酒のラベルを見たときに自分好みの日本酒かどうかわかるようになるかもしれません。原材料である酒米を基準にして、日本酒を選んでみるのも楽しいでしょう。

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