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2019年04月03日公開 「あらばしり」の魅力!フレッシュでワイルドな味を楽しもう

「あらばしり」の魅力!フレッシュでワイルドな味を楽しもう

日本酒はさまざまな種類に分かれており、さらに細分化していくとその種類はより複雑になっていきます。また食べ物に旬があるようにお酒にも旬があり季節感を楽しむことができます。日本酒は通常冬の仕込みになりますが、春先にだけ出回るお酒として「あらばしり」があります。今回は「あらばしり」の特徴と美味しい飲み方について解説します。


まずは日本酒ができるまでの工程を知ろう

日本酒が完成するまでにはさまざまな工程があり、そのひとつひとつの工程が日本酒の味を左右しています。「あらばしり」を説明するために、まずは日本酒の製造工程を知る必要があるためその一連の流れを紹介します。

  • 1.酒米を磨き上げます。
  • 2.水洗いして表面の糠(ぬか)やゴミなどを取り除いた洗米と、きれいな水に浸して給水させた浸漬を水切りして蒸します。
  • 3.蒸米に麹、水、酵母を加え、日本酒の元になる酒母(酛=もと)を作ります。蒸米の一部は麹造りに利用されます。
  • 4.酒発酵させて醪を作るために、酒母を桶に移して仕込みます。

お酒というのは酵母と糖分によるアルコール発酵によって形成されています。日本酒の原料である米には糖分が含まれていないので、まずは米に含まれるデンプンを糖に変える「糖化」という作業が必要になってきます。日本酒は仕込みの段階で糖化とアルコール発酵が同時進行する並行複発酵という珍しい発酵方法があり、別の工程で2種類の発酵を行うビールの単行複発酵や、もともと原料に糖分が含まれているため糖化の必要がないワインの単発酵とは異なっています。

  • 5.上槽(酒しぼり) 上層とは醪を圧縮して酒と酒粕に分けるための作業を指します。
  • 6.火入れ 60~65度の比較的低温で酒を加熱して殺菌するとともに、酵素の働きを止めて熟成度を調整する作業を指します
  • 7.貯蔵・熟成

味を左右する3つの搾り方

先ほど紹介した日本酒の製造工程のうち上槽で行う搾り方には、「自動圧搾機」「槽しぼり」「雫しぼり」の3つの種類があります。現在上槽で行う搾り方のなかで最も主流なのが、自動圧搾機による方法です。自動圧搾機はアコーディオンのような形をしていて、何枚も布を重ねた板を連ねて、その中で醪を押し通すことで搾られます。自動圧搾機で搾ると酒と酒粕にきれいに分離できるうえに、時間がかからないので、酒が空気に触れる時間を短縮することができます。しかしながら、自動圧搾機の搾る圧力が強いためデリケートな酒には向かないと言われており、普通酒や本醸造酒向きとされています。

槽しぼりは、槽の中に醪の入った袋を入れて上から圧力をかけて搾る昔ながらの方法です。この醪を搾る道具が舟の底に似ていることから槽しぼりと呼ばれるようになったと言われています。丁寧に圧力をかけて優しく搾るため雑味の出ない日本酒本来の味わいを楽しめますが、袋を重ねていくときに酒がこぼれないように細心の注意を払わなければいけないため時間がかかるうえに高い技術が必要になります。

雫しぼりは、醪の入った袋を吊り下げて、上から圧力を加えることなく自然に酒を分離させる方法を指します。自然の重力のみで絞られるのでとてもアナログな方法ですが、お酒の必要な成分だけが抽出されるので、日本酒の香りや味はクリアで繊細なものに仕上がります。しかしながら搾るというより滴り落ちる部分を集める方法なので、全てを絞り出すまでに時間がかかってしまいます。


最初に搾り出されるのが「あらばしり」

伝統的な酒造りをする蔵では、昔ながらに冬の寒い季節にお酒を仕込む「寒造り」が行われています。秋に収穫されたばかりの新米を使用して新酒を作ります。そんな酒は四季折々の味わいの変化を感じられるのが魅力の一つですが、そのサイクルの一番始めに出荷されるのがあらばしりです。あらしばりは上槽の工程で最初に搾り出された酒を指しており、自動圧搾機、槽しぼり、雫しぼりのどの搾り方においても、最初に搾り出された酒を「あらばしり」といいます。

自動圧搾機で搾った場合は最初に出てきた酒、槽しぼりの場合は上から圧力を加える前に袋を重ねたときの重みだけで絞られた酒、雫しぼりの場合は袋を吊り下げたときに最初の方に滴り落ちる酒があらばしりとなります。あらばしりの日本酒は薄く白濁しており、微発砲でアルコール度数は低めです。最初に出てくる酒なので味は少し不安定ですが、雑味も含めて香りも味も力強く、癖になる味わいに仕上がっています。


「中汲み」や「責め」とはどう違うの?

日本酒は搾ったときに、3つの工程に分けられています。 お酒を搾った最初、途中、最後の3つで構成されており、それぞれの部分で味わいに変化が生まれます。 搾った部分にはそれぞれ名称が付いており、部分ごとに「あらばしり」「中汲み」「責め」と呼ばれています。あらばしりの特徴を深く理解するためにも、中汲みと責めについても紹介します。

中汲みとは、濁った酒が出尽くした後の酒のことをいいます。槽しぼりでは、袋を重ねてゆっくりと上から圧力をかけ始めた頃に中汲みと呼ばれるお酒が出てきます。風味が安定していてバランスがいいため、品評会などに出品されることが多く、酒本来の味を楽しむことができます。

一方、責めは中汲みを搾り切った後にさらに強い圧力を加えて搾った酒のこといい、アルコール度数が比較的高く雑味も多いのが特徴です。あらばしりや中汲みは市場に出回ることがありますが、責めで絞られた酒のみが出回るケースはほとんどありません。しかしながら現在は自動圧搾機が主流となっており、一気に圧力をかけて抽出するので、あらばしりから責めまでがすべて入り混じってしまうことがあります。あらばしり、中汲み、責めをそれぞれ分けて作るには時間がかかり過ぎるため、あらばしりや中汲みという表記は手間暇をかけて搾ったことの証でもあります。


「あらばしり」は生酒が基本

「あらばしり」は冬から早春の一時期しか味わえない特別な生酒です。女性でも飲みやすいフレッシュな味わいとさらりとした軽快な飲み口が特徴で、火入れを一切行わず生酒で出荷されるのが一般的です。火入れとは、60~65℃前後に加熱をする「低温殺菌法」で、味や香りを劣化させる酵素や微生物の活動を抑止することで保存性を高める効果があります。瓶ごとお湯に漬けてお燗する方法や、熱湯を入れた蛇管やプレートヒーターにお酒を通して火入れをする方法があります。

あらばしりを楽しむためには冷蔵庫で少し冷やして飲むのが最適で、フレッシュさを味わう酒なので開封後は早めに飲み切るようにしましょう。また同じ銘柄のあらばしりと中汲みを飲み比べて、香りや味の違いを楽しむのもおすすめです。また日本酒はさまざまな種類があるので、その種類に合わせて冷や、お燗など自分の好きなスタイルを楽しむことができます。一般的には濃醇なお酒には濃い味付けのもの、淡麗なお酒には淡白な味付けの料理が合うと言われています。


まとめ

あらばしりは雑味も含めてフレッシュさや力強さを味わう酒なので、すべての人が必ず口に合うものとは限りません。現在は技術の進歩により一年中、日本酒を楽しむことができますが、本来日本酒は秋に収穫された米を冬から仕込み始めるというように出荷時期が決まっていたため、日本酒にも旬が存在するのです。

上槽で搾られたばかりでわずかに炭酸を含んだあらばしりが春先に出荷されます。あらばしりは美味しいや美味しくないといった判断はされるべきではなく、銘柄の分だけその酒の味は微妙に異なります。たくさんの銘柄の酒を飲み比べて自分好みのあらばしりを探してみてはいかがでしょうか。一定の時期しか味わえない、希少なあらばしりの虜になるはずです。

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