
最近では海外でも人気の日本酒。その歴史は古く、奈良時代にはすでに計画的な生産体制がとられていたようです。国税庁の清酒製造業の概況(平成29年度調査分)によると、現在でも1,400社以上の清酒製造業者があり、各社が複数の日本酒を出していることを考えると、数千種類は存在します。
もちろん全く同じ味というのは存在しないため、自分好みの味を見つけるのは大変な反面、頼み方さえ工夫すれば意外と簡単に見つかることもあります。この記事では、自分好みの日本酒がみつかるように、日本酒の知識や頼み方を紹介します。
好みの日本酒の頼み方のポイント
日本酒の基本の頼み方は「おすすめ」を参考に
自分好みの日本酒を頼むために知るべき基本知識
日本酒種類別×合う料理
「好みのヒント」を添えるのが上手な日本酒の頼み方
飲食店に行った時に自分好みの日本酒を飲みたいけれども、日本酒は多く銘柄があるため迷ってしまいます。そもそも日本酒を飲み慣れていない場合は自分がどんな味が好きかも分からないということも。自分にぴったりの日本酒に巡り合うための、まずは日本酒の頼み方のポイントを紹介します。
日本酒の好みが一番表れやすいもの、それは「味」と「飲み方」です。味は日本酒の旨味がしっかりと感じられるか、すっきりと軽い味わいかといったように好みが分かれます。また、香りが特徴的なものも多い日本酒は、香りも味わいの1つとしてそれぞれ好みがあるものです。
また日本酒に限らず飲み物というものは、単体で味わうこともあれば、食事と共に飲むことも多いです。つまり、美味しく日本酒を飲むには料理との相性も非常に重要です。
さらに知っておきたいのが日本酒は飲む温度によって印象が大きく変わるという点です。「冷や」や「熱燗」のように温度が異なる飲み方では、同じ日本酒でも味わいが変わってきます。そのため味だけではなく、自分はどういう風に飲みたいのか、ということを考えてみましょう。
種類の多さで敷居が高いように感じる日本酒ですが、基本的な頼み方はお店の人に日本酒のおすすめを聞くだけです。
もちろんお店の人に限らず、日本酒好きの人がいればおいしい日本酒を聞いてみましょう。しかし料理とのバランスも大きなポイントになるため、日本酒に精通している人でもそのお店の料理を知り尽くしているお店の人におすすめを聞いて選ぶことは珍しくありません。そしてその時に重要になってくるのが先ほど述べた、好みの表れやすい「味」と「飲み方」です。
どんな料理と日本酒を合わせて飲みたいかも日本酒の頼み方の重要なポイントです。例えば、和食に合わせるのか、イタリアンや洋食などに合わせるのか、料理の内容は肉か魚かといったことによってどんな日本酒が向いているかが異なります。
もちろん、同じメニュー名でも各飲食店で味付けは違うもの。特に初めて行くお店であれば、お店の味を知っている店員に食べたい料理を伝え、その料理に合ったおすすめの日本酒を出してもらうのが一番です。
日本酒の場合、味の好みは甘口、辛口で表わされることが多いです。しかし甘口と言ってもカシスやピーチリキュールのような甘さはありません。まずは、お米が深くふくよかな甘味であることを覚えておきましょう。
しかし、日本酒に馴染みがない人の場合、甘口・辛口どちらが自分の好みなのかわからない場合もあります。好みを伝える表現としては、他のアルコール飲料の好みを伝えるのも1つの手段。「普段はフルーティーなお酒が好き」「キリっとしたドライな感覚が好き」「原材料の味がする重たいのが好き」など、少しでも好みのヒントになることを伝えてみてください。
日本酒は飲む温度によって印象が大きく変わります。温度は大きく分けると冷酒、常温酒、熱燗に分けられます。
お酒は冷たければ冷たいほど香りが立ちにくい一方で、雑味を感じにくいのが特徴です。冷酒ではもともとの香りが強い吟醸酒が好まれます。一番お酒の味がダイレクトに出やすいのは常温です。常温酒には、雑味が少ない純米酒や吟醸酒が向いています。そして熱燗は日本酒のふくよかな香りが出やすいため、味がしっかりしている本醸造酒がおすすめです。
また、おでんなど温かい料理には熱燗を、刺身やざる蕎麦など冷たい料理には冷酒というように、料理と合わせる際はまずは同じ温度帯のものを選びましょう。
日本酒の美味しさ、奥深さを知るとやりたくなるのが飲み比べです。しかし飲みすぎにも注意が必要です。日本酒は1合(約180ml)単位で注文することも多いですが、アルコール度数が15~16度あるため一人で飲み切るには多めです。日本酒の味の違いを楽しむということを考えても、飲みすぎないよう にしましょう。
最近では、飲み比べセットとして、数種類の日本酒をお猪口1杯ずつ注いでくれるお店もあります。いずれにせよ、日本酒とともに「和らぎ水」(ウィスキーを飲む際のチェイサーと同じ役割、追い水)を一緒に頼むのも忘れずに。飲んだ分の日本酒と同量の水を飲むようにペース配分をすると、比較的悪酔いすることも少ないです。
数千種類ある日本酒ですが、原料や作り方等で大まかに分けることができます。好きな味の日本酒に出会った場合、どんな分類に属する日本酒かを知っておくと、今後自分好みの味を見つけやすくなります。日本酒の基本を知り美味しく楽しく付き合えるようにしましょう。
1つ目の大きな分類は原料が何かです。日本酒の主な材料は米、米麹、水という非常にシンプルなものです。この3つの原料のみで作られている日本酒が「純米酒」。まさに純粋に米だけのお酒です。
一方で、米、米麹、水に加えて、醸造アルコールを入れた日本酒を「本醸造酒」と呼びます。スッキリした爽やかな味わいを出したいなど蔵が味を調整する技術として使われることが多いです。
この2つの分類の見分け方は非常にシンプルで、日本酒に記載されている名称に「純米」という言葉が入っているかどうかです。まずは自分には純米酒の味が合っているか、それとも本醸造酒のほうが好みなのかを飲み比べて確認してみましょう。
原料で純米酒かそれ以外に分かれるほか、日本酒を分類する方法があと2つあります。それが精米歩合と吟醸造りです。精米歩合とは、使用する原料の米をどの程度精米する(削る)かというものです。精米歩合が低くなればなるほど、米の中心部分に近い所のみを使用しています。雑味が少ない米本来の味わいが生かされます。
一方、吟醸造りというのは、精米した米を低温で発酵させて「吟醸香」という独特の香りをまとわせる造り方です。特定名称酒は「純米かどうか」「精米歩合はどれくらいか」によって分類され、吟醸造りの場合は名称に含めるようになっています。
【純米酒】
純米大吟醸酒
精米歩合が50%以下の米、米麹、水のみを原料とし、吟醸造りで造ったもの。一番、精米歩合が低いため、米のうま味、甘みを最も感じられる。雑味が入っておらず、スッキリとしながらも濃い味わいが楽しめる。
純米吟醸酒
精米歩合が60%以下の米、米麹、水のみを原料とし、吟醸造りで造ったもの。純米酒ならではの米の美味しさや吟醸香が楽しめる。スッキリした飲み心地で冷酒や常温(冷や)で飲むのがおすすめ。
特別純米酒
米麹、水を使用し、①精米歩合が60%以下の米を使用、もしくは②特別な製造方法でラベルにその内容を記載しているかどちらかの基準をクリアしているもの。食用の米ではなく、日本酒専用の米を使用したものもある。
純米酒
米、米麹、水のみを原料として造られた日本酒。精米歩合や吟醸造りかなどは考慮されない。米本来の味が楽しめ、一番削られている部分が少ないため、普段食べる米の炊き上がりの香りに近いと表現されるものもある。
【本醸造酒】
大吟醸酒
精米歩合が50%以下の米、米麹、水に醸造アルコールを加え、吟醸造りで造ったもの。精米歩合も低く、米のうま味や甘みを感じやすい。吟醸香の華やかな香りを持ちつつ、スッキリした味わいを兼ね備えている。
吟醸酒
精米歩合が60%以下の米、米麹、水に醸造アルコールを加え、吟醸造りで造ったもの。フルーティな吟醸香を纏いながらも、スッキリとした味わいを持つ。冷やのほか、ぬる燗でも美味しく飲める日本酒。
特別本醸造酒
米麹、水、醸造アルコールを使用し「精米歩合が60%以下の米を使用」もしくは「特別な製造方法でラベルに記載がある」かどちらかの基準をクリアしているもの。すっきりした味わいと蔵独自の魅力が現れやすい。
本醸造酒
精米歩合が70%以下の米、米麹、水に醸造アルコールを加えたもの。吟醸造りではないため、香りはあまり立たないものの、シャープでシンプルな味わいを存分に楽しめる。蔵の「味で勝負する」という姿勢が見える日本酒。
【普通酒】
普通醸造酒
特定名称酒に該当しない日本酒。パックやカップなどで販売されていて、比較的安価なものが多い。スーパーやコンビニで購入でき、日ごろから手軽に楽しめるので人気の理由。
増醸酒
戦後、米が得られない際に生産量を増やすために多量の醸造アルコールを使ったお酒。量が三倍になったことから三倍増醸清酒(三増酒)とも呼ばれる。現在は酒税法で醸造アルコールの添加量に制限があるため製造されていない。
原料や造り方で分類できる特定名称酒ですが、香りや味わいは同じ名称でも違うことが多いです。ここでは味わいを中心に分類します。数千種類ある日本酒も味によっていくつかの分類に分けることができ、日本酒のエキスパートである利き酒師もこの分類を意識することもあるものです。
爽酒
一番味わいがすっきりしていて、爽やかで香りや味わいの主張は強くない。普通酒や本醸造酒など醸造アルコールを多く含んだ酒のほか、製造工程で通常行う火入れがされていない生酒も分類されることが多い。
薫酒
リンゴやバナナなどに例えられるフルーティーな香りが一番ひきたつ日本酒。吟醸酒が多く分類されます。精米歩合が低く雑味が少ないものが多いため、香り高く透明感がある味わいが特徴。冷酒や冷やで飲むのがおすすめ。
醇酒
しっかりとした米のうま味、甘味が感じられる日本酒で、純米酒に代表されるもの。日本酒そのものの味がしっかりしているため味が濃い料理にも負けない強さが特徴。食中酒としてもおすすめで常温や燗で飲むと味がダイレクトにわかる。
熟酒
古酒や熟成酒など、芳醇な香りと濃厚な味わいが特徴です。香りはドライフルーツやスパイスに例えられることが多く、色味も黄色や褐色のものもある。酒自体の味が濃いため、好みの温度で少しずつ味わうのもおすすめ。
名称 | 温度 | 特徴 |
---|---|---|
雪冷え | 5℃ (冷酒) |
スッキリした味わいの一方で、甘みは感じにくいのが特徴的。 |
花冷え | 10℃ (冷酒) |
みずみずしいフルーティーさを得やすい温度帯 |
涼冷え | 15~20℃ (常温) |
日本酒そのものの味を感じやすく季節によって表情が変わる。 |
日向燗、人肌燗、ぬる燗、上燗、熱燗、飛び切り燗(5℃ずつ変化) | 30~55℃ (熱燗) |
温めることで香りがたち甘みが引き立つ。特に酸味が強めのお酒だとバランスが良い。 |
次に、日本酒の細かい温度と味わいの違いを紹介します。
冷酒には雪冷え(5℃)と花冷え(10℃)の2種類があります。雪冷えはスッキリした味わいの一方で、甘みは感じにくいのが特徴的。花冷えはみずみずしいフルーティーさを得やすい温度帯。いずれも室温よりも低いため、飲み進めていくと味の変化をダイレクトに感じられます。
常温は涼冷え(15~20℃)とも呼ばれ、日本酒そのものの味を感じやすく季節によって表情が変わるのが特徴です。
温かい酒(30~55℃)には、日向燗、人肌燗、ぬる燗、上燗、熱燗、飛び切り燗と5℃単位で呼び名あり。いずれも温めることで香りがたち甘みが引き立つため、特に酸味が強めのお酒だとバランスが良くなります。
日本酒の種類 | 合う料理 |
---|---|
純米系 | 濃い味つけの料理(ステーキや濃いめのタレの焼き鳥など) |
吟醸系 | シンプルな味つけの料理(カルパッチョなどのあっさりしたイタリアン) |
普通・本醸造系 | 和食や洋食や中華など様々なジャンルの料理 |
古酒系 | 燻製された食材やチョコレートなど香りが強く後味が強めのもの |
最後に日本酒と料理の合わせ方も紹介します。そもそも日本酒は米が原料のため、お米が合う料理であれば問題なく合います。
さらに日本酒によっては洋食やイタリアン、スイーツまで相性がいいものも。ここでは代表的な4種類のタイプごとに、相性が良い料理を紹介します。
お米のうま味と甘味を存分に感じられる純米酒には濃い味つけの料理がよく合います。肉そのものの味がダイレクトに分かるステーキや濃いめのタレで味わう焼き鳥や焼き肉などにもぴったりです。
また、全般的に味つけが濃い中華料理との相性も抜群。芳醇な味わいの純米酒だからこそ、濃い味つけにも負けずに相乗効果を生み出せます。
フルーティーな香りで上品な味わいを持つ吟醸系は、特にあっさりしたもの、シンプルな味つけの料理によく合います。純米系が濃いタレの料理に合うのに対して、同じ肉料理でも吟醸系はしゃぶしゃぶや焼き鳥の塩味に合います。
また、カルパッチョなどのあっさりしたイタリアンと合わせるのもおすすめです。あえて日本酒をワイングラスに注ぎ、存分に香りを楽しみながら料理を味わうのも良いです。
日頃から手軽に飲みやすい普通酒や本醸造酒はどんな料理にも合わせやすいのが特徴の1つでです。キリッとした爽やかな飲み心地を持っている一方で、香りは強く主張しないため和食だけでなく洋食や中華など様々なジャンルの料理とも合わせられます。
意外な組み合わせとしては、チーズ料理との組み合わせです。料理自体が濃厚な香りを持つため、普通酒や本醸造酒の爽やかさが口の中をスッキリとリフレッシュさせてくれます。
銘柄ごとにユニークな香りと味わいがある古酒。深みが増している分、どんな料理も受け入れる懐の深さがあります。料理と飲み物は不足を補いあう関係が多い中で、古酒は強い特徴同士を掛け合わせることで新しい発見があるのが魅力です。
味の濃い料理に良く合い、特に燻製された食材やチョコレートなど香りが強く後味が強めのものと一緒に飲むのがおすすめです。
日本酒は種類の多さからお酒の中でもハードルが高いと躊躇しがちです。しかし、基本的な知識を得たら、後は気軽にお店に行ってみましょう。店員におすすめを聞くときには、「好みの味」と「どんな料理に合わせたいか」を忘れずに伝えましょう。
とにかく種類豊富な日本酒は、最終的には実際に飲み比べて好みを探すのが一番です。いくつかおすすめを紹介してもらったら、実際に飲み比べて味の違いを感じてみてください。種類を変えてみたり、飲む温度を変えてみたり、一緒に食べる料理を変えてみたりと実験するつもりで楽しみましょう。
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