
日本酒には純米酒や吟醸酒、そして本醸造といったさまざまな種類があります。作る段階でアルコールを添加する本醸造は、純粋な米と麹のみで作られる純米酒や吟醸酒より劣ると考える人も少なくありません。しかし、本醸造は決して純米酒や吟醸酒に見劣りするようなものではありません。ここでは、あまり知られていない本醸造ならではの魅力や、ほかの日本酒との違い、また本醸造をよりおいしく楽しむためのコツなどについて紹介します。
酒税法の分類で特定名称酒と呼ばれる日本酒は、原料や製造方法などの違いによって主に3種類に分けられています。すなわち、純米酒、吟醸酒、それから本醸造です。この中で、原料に米と麹のみ使用した日本酒を純米酒、米と麹に醸造アルコールを添加した日本酒を本醸造と呼びます。一方、吟醸酒というのは、使用原料でなく精米歩合の違いを表す分類です。原料に醸造アルコールを添加しているかどうかにかかわらず、精米歩合を60%以下にした白米を低温でじっくり発酵させて作られた日本酒が吟醸酒と呼ばれます。
精米歩合とは、米の磨き具合を表す程度のことです。たとえば、精米歩合が70%の日本酒は、米の30%分を削って、残った部分で作られていることを意味します。精米歩合が60%、さらには50%と小さくなるにしたがって、米を磨いて削る範囲は大きくなるため、より純度の高い手間のかかる作り方をしていることになります。米を極限まで磨くには高い技術も要求されるため、精米歩合の低い日本酒は、その分だけグレードの高い高級酒となるわけです。
こうした精米歩合の違いによって、同じ醸造酒でも分類が変わってきます。醸造酒の中でも本醸造と呼ばれる種類は、精米歩合が70%以下の米と麹に醸造アルコールを添加した日本酒です。作成する過程で醸造アルコールを加えるのは、味や香りを高めたり、品質の劣化を防いだりするためです。ただし、日本酒に添加できる醸造アルコールの割合は白米の総重量の10%以内と決められています。10%を超えると、醸造酒とは分類されず、酒税法の特定名称酒でもない単なる普通酒となります。
特別本醸造酒と本醸造酒は、旨味や香りを引き立てるためや、品質を維持するために醸造アルコールが添加されている点は同じです。特別本醸造酒と本醸造酒を分ける基準は原料となる白米の精米歩合にあります。本醸造酒は精米歩合が70%以下の醸造酒のことをいいます。これに対して、特別本醸造酒は精米歩合が60%以下の醸造酒です。特別本醸造酒は精米歩合が低いため、一般に本醸造酒より高級で風味も豊かだとされています。
ただ、特別本醸造酒は単に精米歩合が60%以下の醸造酒をいうのではありません。精米歩合が60%以下の本醸造酒の中で、特に香味や色沢が良いものに限り、特別本醸造酒として区別されるのです。原料となる白米をより磨いて作られている特別本醸造酒は、余計な雑味がなくスッキリとした味わいに特徴があります。また、精米歩合が60%を超える本醸造酒でも、特別な製法で作られていれば特別本醸造酒として分類されることもあります。
たとえば、精米歩合は65%である一方、大吟醸並みの発酵日数で作られた醸造酒などです。この場合、精米歩合で見れば本醸造酒にとどまるものの、特別な製法で作られていることをもって特別本醸造酒と呼ばれることがあります。ただし、どんな製法を特別とするかには明確な基準はありません。特別本醸造酒で精米歩合が60%以上あった場合、何が特別なのか調べてみて、その日本酒の特徴をつかんでから味わうのも一興です。
日本酒の好みは人によって大きく異なります。一般に精米歩合の低い日本酒のほうが、風味が豊かでおいしいといわれますが、人によってはそのように感じないことも少なくありません。本醸造酒の味も、米と麹のみで作られた純米酒や吟醸酒に劣るといわれることが多いです。もちろん、実際に純米酒や吟醸酒のほうがおいしく感じるという人もいるでしょう。しかし、本醸造酒には純米酒や吟醸酒にはない独特の魅力があることも事実です。
そもそも本醸造酒に含まれる醸造アルコールは、トウモロコシやサトウキビ、また白米などを原料に作られています。決して食品添加物のようなものではなく、原料を蒸留精製して得られた純粋で強いアルコールです。この醸造アルコールを加えることによって、日本酒はむしろスッキリとしたキレのある味わいになります。こうした軽いまろやかな飲み口は、純米酒や吟醸酒では味わえない本醸造酒ならではの特徴です。
もちろん、口に含んだときの味は純米酒や吟醸酒より薄いため、深い味や濃厚な飲み口を求める人には物足りなく感じるかもしれません。また、原料に米と麹しか使わない純米酒や吟醸酒は、それだけ作るのに手間や技術も必要となり、値段の面でも醸造酒より高級なものが多いです。しかし、高級感では劣るかもしれませんが、値段がそのまま味わいにも直結するわけではありません。本醸造に合った料理や、本醸造をさらに引き立てる飲み方をすれば、その味わいは純米酒や吟醸酒に勝るとも劣らないものになります。
値段も手ごろで、普段の晩酌などにも最適な本醸造酒は、なるべく冷酒で味わうのがおすすめです。特に5度近くまで冷やした冷酒なら、本醸造酒の味わいもさらに引き立つでしょう。本醸造酒はスッキリした後味が特徴の日本酒です。冷酒にして飲むことで、本醸造酒ならではの爽快感のあるキレを感じることができるでしょう。
もちろん、冬場には燗にして味わってみるのも良い楽しみ方です。本醸造酒には多様な種類があり、特にコクのあるものなら、燗にして味わうことで香りが引き立ちます。ただ、熱くしすぎると本醸造特有の軽い飲み口が失われてしまうことがあります。好みによっても変わってきますが、燗を付ける場合は少しぬるめの温度にするのがおすすめです。
一方、冬場でも冷酒で味わうという楽しみ方もあります。部屋を暖かくして飲めば、冬でも十分に本醸造酒のキレと爽快感を味わうことができます。ただし、冷やしすぎると本醸造酒独特の風味が損なわれてしまうので注意が必要です。冷蔵庫で冷やす場合は、なるべく温度が低すぎない野菜室やドアポケットなどで保存するのが良いでしょう。
本醸造酒は日常的に楽しめる日本酒のひとつです。クセが少なく、飲み口も軽快であるため、基本的にどのような料理に合わせても相性が良いです。特に本醸造酒のスッキリした味わいは、白身魚やイカなどの魚介類と組み合わせるとより引き立ちます。白身魚やイカなどは、つまみの定番でもあり、飲みやすい本醸造酒にも最適です。
ただ、もともと飲み口の軽い本醸造酒に、あっさりしたつまみを合わせると物足りなく感じてしまうこともあります。そのため、魚介類で合わせるときは、なるべくフライや揚げ物など油を通した料理にするのがおすすめです。もちろん、いろいろな料理と相性が良いため、味の薄い料理と濃い料理を用意して、それぞれの違いを感じながら味わってみるのも一興です。
本醸造酒にもさまざまな種類があります。コクのある本醸造酒を楽しむときは、湯豆腐や刺身などさっぱりした料理と、スッキリした味わいが特徴の本醸造酒なら、煮つけや炒め物など濃い目の料理と合わせてみるなど、いろいろな合わせ方をして本醸造酒を楽しみましょう。
本醸造酒に添加されている醸造アルコールは、日本酒の欠点を補うために加えられているものです。醸造アルコールそれ自体は、決して悪いものではなく、むしろ味のキレやコクを高めてくれるものでもあります。添加できる量も限られており、醸造アルコールが加えられることで日本酒独特の風味が損なわれることもまずありません。手ごろな値段で手に入れやすく、いろいろな料理と合わせることもできます。日常的に飲むには最適な日本酒ともいえるので、自分なりの味わい方を見つけて本醸造酒を存分に楽しみましょう。
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