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2019年02月18日公開 熟成と劣化は違う?日本酒をおいしく保存する基本知識

熟成と劣化は違う?日本酒をおいしく保存する基本知識

繊細な味わいが特徴的な日本酒は、品質が変わりやすいデリケートなお酒でもあります。適切に管理をしないと、味が変化してしまったり、劣化を早めてしまったりすることもあるため、注意が必要です。そこで、日本酒をおいしく飲める期間や、味を落とさずに保存する方法など、日本酒を楽しむにあたり知っておきたい基礎知識を紹介します。


日本酒に賞味期限はない!でも味は経年劣化する?

日本酒には賞味期限が表示されていません。日本酒には数十%のアルコールが含まれています。アルコールには殺菌作用があるため、細菌などは日本酒の中でほとんど繁殖できません。そのため、長期保存が可能です。このような理由から、日本酒は賞味期限の表示を省略できると食品表示法で定められています。ただし、清酒については酒税法により、製造時期を表示する決まりになっているのです。製造時期とは、いわゆる仕込みの時期ではなく、お酒を充てんした容器を密封した時期を指します。

そもそも賞味期限とは、賞味期間の限界という意味です。賞味期間とは品質を落とすことなく、おいしく食べられる期間を示しています。賞味期限を過ぎたら飲食できなくなってしまうというわけではありません。ただし、日本酒のように賞味期限の記載を省略できる製品でも、時間の経過とともに味が変化したり、劣化したりすることはあります。たとえば、本醸造酒や普通酒なら、製造年月日から約1年が、おいしく飲める期間です。吟醸酒や純米酒、生貯蔵酒なら、製造年月日から約10カ月以内には飲んだ方が良いでしょう。生酒なら製造年月日から約8カ月以内が目安です。

これらの賞味期限は、栓を開けていない状態で冷暗所に保管した場合の期間です。保管する場所の温度は20度前後が望ましいでしょう。直射日光の当たる場所や高温になる場所など、酒質に悪影響を及ぼす環境では、賞味期限が短くなってしまいます。できるだけ良い状態を保つためにも、保管する場所には十分に気を配るべきです。また、日本酒の種類によって、保存方法は異なります。


種類別に見る日本酒の保存方法1:普通酒

普通酒とは、吟醸酒や純米酒、本醸造酒のように特定名称酒として分類されていない日本酒を指します。かつては普通種も、特級や一級、二級と等級付けがされていました。しかし、1992年4月1日から級別制度は廃止され、2019年1月現在では、一級や二級ではなく上撰や特撰というようにランク付けされています。ランクの種類やランク付けの基準はメーカーが独自に定めたものです。法律などで規定されているわけではありません。

普通酒の大きな特徴は、値段が手頃で気軽に飲めるという点です。日常的に飲むお酒という位置づけで、クセが少なく飲みやすい酒質のものが多く出回っています。常温で保存ができるのも、普通酒の特徴です。できるだけ湿度が高く、光の当たらない冷暗所で保存しましょう。冷暗所とは、1年を通して温度や湿度が大きく変わらず、直射日光が当たらない場所を意味します。流し台の下や冷蔵庫の横など、温度が高くなりやすい場所や、風通しが悪く湿気が溜まりやすい場所は避けましょう。


種類別に見る日本酒の保存方法2:吟醸酒

吟醸酒とは精米歩合60%以下の白米と米麹、水、醸造アルコールを原料とした日本酒です。白米の精米歩合が50%以下の場合は、大吟醸酒と呼ばれます。吟醸酒は5~10度ほどの低温で発酵させながら、30日以上もの時間をかけて作るお酒です。フルーツのように華やかな香りとなめらかなのどごし、淡麗な味わいといった特徴があります。独特の芳香と繊細な風味を十分に生かすために、「冷や」または「ぬる燗」で味わうのが一般的です。吟醸酒の保存する際は、温度を10度前後に保つのが望ましいでしょう。日本酒セラーがあれば理想的ですが、なければ冷蔵庫の野菜室の温度を高めに設定すれば、10度前後をキープできます。

しかし、一升瓶の場合、冷蔵庫に入らないこともあるでしょう。そのような場合は、小さめの瓶に移し替えるのも1つの方法です。吟醸酒は空気に触れることで酸化します。腐敗はしないものの、著しく風味が落ちるため、できるだけ空気に触れないよう注意が必要です。開栓せず長期保存したい場合は、最初から4合瓶を購入するのも良いでしょう。


種類別に見る日本酒の保存方法3:純米酒

純米酒とは米と米麹、水を原料とする日本酒です。吟醸酒と異なり、米の精米歩合は決まっていません。以前は精米歩合70%以下という決まりがありましたが、2004年1月1日以降は精米歩合に関係なく、米と米麹と水を原料にした清酒を「純米酒」と表示できるようになりました。ただし、純米吟醸酒は精米歩合60%以下、純米大吟醸酒は50%以下という条件があります。

純米酒や純米吟醸酒、純米大吟醸酒は醸造アルコールを使用しません。そのため、吟醸酒よりもコクがある、ふくよかな味わいの純米酒が多いです。ただし、酒造技術の進歩とともに、すっきりとした軽い口当たりのものから濃醇な味わいのものまで、さまざまな酒質の純米酒が作られています。純米酒は普通酒と同じく、常温で保存が可能です。できるだけ光が当たらず、湿度が低い冷暗所で保存しましょう。


種類別に見る日本酒の保存方法4:生酒

生酒とは、火入れという処理を一度もせずに瓶詰めをした日本酒を指します。火入れとは、殺菌のために行う加熱処理です。通常の日本酒は、原料を発酵、圧搾、ろ過したあと、60度ほどの温度で火入れをします。さらに、常温貯蔵を経て再度ろ過した日本酒は、瓶に充填する過程でもう一度火入れを行うのです。生酒は酒蔵で飲む酒のような、しぼりたてのフレッシュな香りと味わいが特徴です。ただし、時間が経つにつれて甘みが増す「甘ダレ」という現象が起こったり、「ムレ香」という不快な臭いを生じたりする場合があります。

通常はの日本酒は酒質が変化しないよう、火入れを行うことで酵母の働きを止めます。しかし、火入れをしない生酒は、酵母が働き続けているため、貯蔵中も酒中に含まれる糖分やタンパク質の分解が進んでしまうのです。特に、常温保存だと酵母の働き活発になり、味の劣化が早まってしまいます。できるだけ酵母の活動を抑えるためにも、5~6度の冷蔵保存が望ましいです。


日本酒を保存する際に意識したいポイント

日本酒を保存する際は、空気に触れないことと光を遮ることの2点に気を付けましょう。まず、日本酒は縦置きで保存するのが基本です。横に置くと酒と空気に触れやすくなり、劣化が早くなってしまいます。酒に触れた栓が腐食してしまう可能性もあるので、できるだけ直立させた状態で保管しましょう。開栓後に中身が余ってしまったときはそのままにせず、小さい瓶に移し替えます。4合瓶や180~300mlくらいの小さな瓶をいくつか用意し、きれいに洗ったうえでよく乾かします。極力空気に触れないよう、瓶の中いっぱいにお酒を注ぐのが、品質を落とさずに保存するコツです。

また、保存する場所は日光だけではなく、照明の明かりも届きにくい場所が望ましいです。酒瓶には茶色や緑色など、色がついているものが多く見られます。これは、紫外線を通しにくくするための工夫です。日本酒の専門店では、冷蔵ケースや照明にUVカット加工を施す場合もあります。ただし、家庭では化粧箱に入れたり、新聞紙などで包んだりするだけでも効果的です。


まとめ

日本酒は日本人にとって馴染み深いお酒ですが、デリケートで保存が難しいという一面があります。おいしく飲むためにも、日本酒の種類や特徴を把握したうえで、適切な方法で保存することが大切です。正しく保管すれば時間が経つにつれて熟成され、まろやかな味わいに変化します。ただし、開栓後はなるべく早く飲みきってしまいましょう。

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