
新天地である琉球でビッグチャレンジに挑んでいる船生選手
ある日、琉球ゴールデンキングスの試合を映像で流し見していて、目を疑いました。
今季、富山グラウジーズから移籍してきた船生誠也選手が、フロントコートにボールを運んでいたからです。
「あくまで一時的な起用なのかな?」そう思ってその後の展開を見守りましたが、船生選手は引き続きトップの位置に立ってパスを出したり、ピック&ロールの使い手になったり、どう見てもポイントガードとしか言えない動きをしていました。
これまで(それこそ高校時代から)フォワードとしてプレーしていた195センチの船生選手が、27歳でポイントガードに転向——。
今季これまでのBリーグの動向の中で、個人的には一番のサプライズだったかもしれません。
「理想のPGの1人」だという篠山竜青選手に見せたプレッシャーディフェンスは圧巻だった
その日からしばらく経った11月8日の川崎戦で、今季初めて生で琉球を見ることができました。
この試合は、前日の第1戦で不甲斐ない敗北を喫した川崎が奮起し、前半は43-36で川崎リード。しかし琉球は第3クォーター、ジャック・クーリー選手と並里成選手の猛チャージで点差を詰め、開始5分で同点にこぎつけました。
そして藤田弘輝ヘッドコーチは、同点のスコアを見届けるやいなや、これまで出場機会のなかった船生選手を即座に呼びました。ためらいや逡巡の一切ない、「満を持して」感がありました。
この場面でもポイントガードとして起用された船生選手は、川崎の藤井祐眞選手にマッチアップ。長身ながら高いアジリティを有する船生選手のディフェンスは、リーグ随一の運動量を誇る藤井選手すらも大いに苦しめました。
求めていた通りの働きをしたからなのか、クォーターが終わりベンチに戻る船生選手を、藤田HCが笑顔でハグしにいったことが印象的でした。
藤田HCは、この場面で船生選手を投入した意図について、「川崎のポイントガード陣に上からプレッシャーをかけて、相手のやりたいオフェンスを遅らせることに期待した」と説明。船生選手をコートに送り出す前に、このような意図をすり合わせている様子はありませんでしたが、練習から常に要求されている役割なのでしょう。船生選手はHCの意をしっかりと汲み、期待通りのパフォーマンスを発揮しました。
さらに、第4クォーター、川崎のメインガードである篠山竜青選手を相手に見せた、しつこい…もっと端的に言うなら”エグい”ディフェンスでターンオーバーを誘発させたプレーに対しても、「篠山選手という素晴らしいポイントガードからターンオーバーを取ってくれた。期待通りの男気を見せてくれました」と高い評価を与え、彼をベンチで迎える際にはハイタッチで讃えました。
試合後の会見に応じる藤田HC
船生選手はこの試合を、以下のように振り返りました
「ホーム開幕戦でかかとをけがしてしまって、そこから7試合、正直満足いくプレーができませんでした。水曜ゲームが多いタフな日程だったこともあってチーム練習もあまりできませんでしたし。
ですので、バイウィークをはさんだこの川崎戦は、僕にとっては復帰戦という位置づけでした。HCからは『チームは生き物。ケガ人が帰ってきたからチームがよくなるわけでもないし、誰かが試合に出たいと努力していても、他の誰かにプレータイムを奪われることだってあるんだ」というようなことを言われていたので、僕は常にレディすること、ベンチでもゲームにエナジーを与えること、ガードとしてまわりの選手に「しっかり守るよ」とメッセージを背中で伝えること…トーンセットと言うのかな。これらにフォーカスしました。
ファールはけっこう吹かれてしまいましたが、チームの勢いを作れたかなと。いい経験になりました」
この試合、船生選手の出場時間は5分弱で0得点、3ファール。数字だけを見れば何も特筆すべきことはないように思えるかもしれませんが、私はこの5分間に、藤田HCの期待の高さ、そして船生選手の今後のパフォーマンスへの期待を強く感じさせられました。
二度目のバイウィーク明けも、成長が楽しみな選手だ
船生選手は今季、本格的なポイントガード転向を目指して琉球に移籍してきました。ファーストアクションは藤田HCから。「彼もポイントガードにチャレンジしてみたいと言っていたので、お互いのニーズが一致した感じですね」と説明します。
現在千葉ジェッツを率いる大野篤史HCは、現役時代、197センチの上背でガードとしてプレーできたそうですが(残念ながらプレーを見たことはないのですが…)、現在活躍する日本人ポイントガードとしては、船生選手が最長身になります。琉球で腕を磨き、独り立ちできれば、非常にユニークなプレーヤーになれる可能性を秘めています。
「とにかくチームに早くフィットしてほしいですね。バスケットがほんとに上手だし、バスケットに対する愛情がすごく強くて、伸びる要素がたくさんある選手ですから。早く練習と試合を重ねて、チームに慣れてほしいなと思います」
藤田HCのこのような言葉を受け、船生選手は言います。
「バスケットボールに対する『好き』の形って、人によっていろいろあると思うんですよ。僕はこれまでバスケットを中心に生きてきたわけですが、今が一番『バスケットに時間を割きたい』『もっとやりたい』と思っているかもしれません。今しかないよっていうのを感じてるんです」
27歳にして訪れた、大きな大きなターニングポイント。船生選手がどのようにこれを生かし、プレイヤーとして成熟していくかが楽しみです。
文:青木美帆
写真:©B.LEAGUE
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