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2020年7月9日公開 【連載】バスケの代理人・鴨志田聡さんインタビュー(2)

FIBA公認エージェントの鴨志田聡(そう)さん

FIBA公認エージェントの鴨志田聡(そう)さん

選手の移籍先探しや年俸交渉、契約のとりまとめを代行する「代理人(エージェント)」のお仕事について、FIBA公認エージェントの鴨志田聡さんに聞く当連載(第一回はこちら) 。第二回目の今回は、代理人の仕事内容や、その使命についてうかがいました。

伸びしろのある選手に可能性を与えたい

――代理人って、普段はどんなことをされているんですか?

契約が立て込む時期を除くと、けっこう自由な時間が多いです。午前中は売り込み用のビデオの編集をしたり、資料を作ったりして、午後は各チームの編成担当者と情報交換することが多いですね。アメリカとのやり取りには当然時差が発生するので、夜や次の日の朝に処理します。

それ以外の時間は、国内外の試合映像を見たり、スタッツをチェックしたりすることに時間を使っています。まずは契約している選手をしっかり見て、そのあとは他の選手も。「この選手、3年目なのにあんまり伸びてないな。なんでだろう?」みたいなことを考えているうちに、「この選手と契約したいな」と思うこともありますね。

――選手と契約する際に、大切にしていることはありますか?

将来性や伸びしろを重視します。「くすぶっている選手」というとちょっとネガティブな表現になるかもしれませんが、バックアップから主力になれそうな選手、日本代表になれる可能性のある選手といった、これからキャリアを伸ばせていけそうな選手を、自分のサポートでステップアップさせてあげられたら……という思いです。

チーム探しの際には、報酬を含む条件面はもちろんのこと、「プレータイムを多くもらえそう」「ヘッドコーチがきちんと評価してくれている」という点も大切にしています。

クライアントの1人、髙橋耕陽選手は今季滋賀から三河へ移籍。ポテンシャルの高い選手だ

クライアントの1人、髙橋耕陽選手は今季滋賀から三河へ移籍。ポテンシャルの高い選手だ

また、代理人と選手はお互いが信頼し合い、感覚がマッチすることも重要だと思っています。代理人は選手の人生そのものに深く関わる立場ですから、価値観に大きなズレはあってはならないというのが個人的な考えです。

ですので、選手と契約する前には、必ず何度か会って話をします。その選手が将来をどう考えているのか、どんな望みや不安を持っているかなどを聞く中で、「この選手ならどんなことも腹を割って話し合える」と思った選手と契約をするんです。

基本的には、試合を見ていて「将来の伸びしろがあるな」と思った選手に私からアプローチするので、価値観のズレはあまりないんですが、選手側から「代理人をしてくれないか」と連絡をもらった際などには、会うタイミングを作ることが難しい場合や、ただ「次のチームを探してほしい」というご要望であれば、お断りすることもあります。

選手にとっても、代理人は大事なプロキャリアを形成するパートナー。選手から信用されなければ代理人契約には至りませんし、何人かの選手からは断られたこともあります。

――差し支えなければ、ギャランティについてうかがってよろしいでしょうか?

代理人が契約選手から受け取る報酬(手数料)は、FIBAのルールで「契約選手の基本報酬の10パーセントまで」と決まっています。多くのエージェントが10パーセントを手数料にしているようですが、私は選手から手数料をもらう場合は最大5パーセントとしています。

プロバスケットボール選手の年俸は、Bリーグ以前と比べるとかなり高くなっていると思いますが、それでもサッカーや野球などと比べれば、まだまだ。今はお互いサポートし合う時期だと思っているので、手数料はできるだけ抑えています。

バスケットボール関係者内でも、まだまだなじみの薄い現状

――当事者でない我々にとって、代理人はなじみがない職業です。選手や関係者たちからは、どのように受け取られているんでしょうか?

実業団主体だった以前の日本のバスケ界では、そもそも「移籍」という概念はほとんどありませんでした。数少ない移籍の例も、選手、コーチ、人事担当者のツテによるものが多かったようです。

そういう歴史もあり、選手や関係者の間でも、「代理人」という概念はまだまだ浸透していないという印象です。メリットをあまり理解してもらえないどころか「怪しいやつ」と敬遠されることもある。正直もどかしいですね(笑)。

ただ、Bリーグの移籍市場は年を増すごとに活発になっています。企業チーム時代のように、チームだけでキャリアを終えられる選手はかなり限られるでしょう。

例えば今季で複数年契約が切れるという選手は、シーズン中に「来シーズンの再契約がなかったらどうしよう…」という不安を抱えながらプレーすることになります。契約が切れることがわかり、いざ移籍しようとなったときも、他チームの関係者とコネクションがなければどうしようもなりません。

代理人は、そういった選手の不安を埋め、競技に集中することを助ける存在です。シーズン中から代理人が他チームに営業していれば、早いタイミングから新戦力として考えてもらえる可能性が高まりますし、シーズン後に各チームから選手の評価をヒアリングして、そこから契約につなげることも可能です。

――代理人として、鴨志田さんが大切にしていることを教えてください

第一回の話と関連しますが、私は契約交渉を代行するだけでなく、選手の成長を助ける存在でありたいと思っています。プロとしてのあり方やキャリア形成というところまでを含めたパートナーでありたいと。「選手と代理人」というよりは、友だちや家族のような距離感で、信頼し合える関係性を築こうとしています。

アスリートが第一線でプレーできる時間はそれほど長くありません。選手が限りうる競技人生をなるべく長く、濃くまっとうできるように、力を尽くしていきたいです。
(第三回に続く)

画像:B.LEAGUE、青木美帆
文:青木美帆

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