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2020年6月3日公開 “フェア”の人・大河正明チェアマンがBリーグに残したもの

6月末を持ってチェアマンを辞任する大河正明氏(写真は2019-20シーズン開幕戦のもの)

6月末を持ってチェアマンを辞任する大河正明氏(写真は2019-20シーズン開幕戦のもの)

5月26日、Bリーグ主催のメディアブリーフィングがオンラインにて実施されました。議題は「大河正明チェアマンの去就について」。少し前に「大河氏、チェアマン辞任か」という報道がなされたばかりでした。
 
リーグ担当者による簡単な説明の後、大河氏が登壇。以下のように話しました。
 
「本日のBリーグ理事会において、チェアマンの異動について審議しましたので、その結果についてご報告させていただきたいと思います。
 
6月30日付で私がチェアマンを辞任し、7月1日より千葉ジェッツの現代表取締役会長である島田慎二さんが新しいチェアマンとして就任される。この案を、6月に開催される会員総会に付議することが決定されました」
 
要は、6月に行われるBリーグ理事会で承認されたら、チェアマンが7月1日より島田氏に交替される見通しとのことです。

任期途中でのチェアマン辞任に踏み切った2つの理由

大河氏は、2015年の初就任から4期にわたってチェアマンを務めています。3期目の任期は2021年までにも関わらず、それを切り上げてまでの辞任を希望した理由は何だったのか。かいつまんで紹介します。

1.リーグのガバナンスを保つため

Bリーグが創設する以前、日本バスケはFIBAよりガバナンス(正しい形での統治システム)が欠如していると指導を受けてきました。その1つとされたのが、組織の中枢にいる人間の不動性と、それによる組織の不健全さでした。
 
Bリーグ以前はJリーグで腕をふるっていた大河氏は、そのことをよく理解しています。
 
「長くスポーツ界を見てきた私の見解として、長期政権は、権力が集中したり忖度が働いたりと、ガバナンスの欠如につながる可能性があります。たとえ意識しておらずとも、上の人間が長くその役職に携われば携わるほど、忖度やトップの人間に対して物が言えなくなるのが世の常です。

例えば、クラブ社長やオーナー経営者の場合は、長い任期の中で、その土地の”名物”となることでクラブの発展を生む可能性があります。しかし、リーグの仕組みづくりや発展をクラブから託されているチェアマンは、そういった性質のものではないというのが私の考えです」

組織の健全性、透明性を第一に考え、大河氏はこの職を離れる決意をしたというわけです。

2.新たなフェーズを若い人材に託したい

Bリーグは昨年7月に、リーグの中長期計画「B.LEAGUE BEYOND2020」を発表しました。
 
新型コロナウイルスの感染拡大で、若干の軌道修正は変更を余儀なくされましたが、予定では東京オリンピックが開催される今年にフェーズ1が終了。2021年からは、2026年をターゲットとしたフェーズ2がスタートすることになっていました。
 
「チェアマンの就任期数には上限があり、2026年には、間違いなく私はその職にいません。フェーズ2の準備が始まる今年の段階で、若い方に引き継ぐのが適切だと思っていました。

任期が残っていることはもちろん理解していますが、チェアマンの仕事は1年1年が勝負。長距離を100m走のように走るようなイメージで仕事をしています。まだ体力が残っているうちに、若い人に引き継ぐほうがいい。そう判断し、トップ交代を決断するに至りました」
 
こうして、候補者の選定がスタート。「2026年までの中期計画路線を継承してくれる人」という大河氏の希望と、「ビジョナリーリーダー(明確なビジョンを持って行動できるリーダー)であること」「戦略的リーダー、構造改革推進者であること」「ナショナルクライアント(大企業)に向き合える経営者であること」という選考委員会側の要件を満たす人物として、今やBリーグファンで知らぬ者はいないほどの名物経営者となった、島田氏に白羽の矢が立ちました。

コロナ禍においても10億円超の資金調達を実現した大河氏の手腕

オンラインでのメディアブリーフィングに登壇した大河氏(キャプチャ画像は筆者が取得)

オンラインでのメディアブリーフィングに登壇した大河氏(キャプチャ画像は筆者が取得)

チェアマン就任時には「ちょいイケミドル」的な取り上げられ方もされていましたが、一報道人として私が垣間見た大河氏は、カリスマ性にあふれたリーダーというよりは、誠実に職務を遂行できるリーダーという印象でした。
 
特に、今回のコロナ禍に際した経済面での貢献は、素晴らしいものではないでしょうか。
 
この事態が深刻化し始めたころから、大河氏は「1クラブもつぶしてはならない」と繰り返し、資金調達に尽力する旨をコメント。先日の会見では10億円を越える資金調達の見込みが立ち、「来季、試合が1試合もできないという最悪の状況であっても、クラブ配分金を死守しながら生きていける算段ができている」と報告がありました。
 
まだ歴史が浅く、ひいては信頼も浅いプロリーグに企業から資金を提供してもらうことは、おそらく並大抵のことではないでしょう。しかし、大河氏は見事にそれの実現にこぎつけました。
 
かつて、経済面を理由にプロバスケチームが消滅する例がいくつもありました。驚くような低報酬を、なんとかやりくりしながら生活しているプロ選手も少なくありませんでした。
 
そんな過去を振り返ると、未曽有の経済危機が起こりかねない状況にあっても、リーグとクラブを生き延びさせるだけの資金をきちんと確保した上で、組織の健全性を守り、発展を願って、後進にその座を譲ろうとしている大河氏の手腕とフェアな姿勢は、もっと大きく評価されてもいいのでは、というのが私の個人的な意見です。
 
6月10日の会員総会、6月16日の理事会を経て、チェアマン職は大河氏から島田氏へと移行される予定です。
 

文=青木美帆
写真=B.LEAGUE、青木美帆

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