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2019年02月20日公開 バスケから卒業するということ~青山学院大・戸田晃輔の場合

バスケから卒業するということ~青山学院大・戸田晃輔の場合

戸田晃輔選手。「写真を撮られるのは苦手」とのことだったが、一枚目からいい表情!

首都圏では、なんとなく寒さのやわらぎが感じられるようになった今日このごろ。すでに卒業式が行われている学校もあるようで、3月を待たずに別れのシーズンに突入したことを実感します。

そんな折に、「バスケットボールからの別れ」を選択する、1人の大学生を紹介します。

大学バスケにおける国内最高峰リーグ・関東1部で活躍した選手は、その多くがバスケットに関連した進路を選択します。プロ選手、実業団選手、教員……。卒業後もバスケットボールに関わるという前提で、次のステージへと進むのです。

しかし、青山学院大4年の戸田晃輔選手は、その道を選びません。「ビジネスマンとして成功する」という新しい目標をもって、一般企業へと歩み出す予定です。

「こんなにも通用しないのか」。ショックから這い上がって得たもの

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高校時代はアウトサイド寄りのプレーヤー。大学では鋭いドライブも磨かれた

戸田選手がこのようなキャリアを考えるようになったのはいつだったのか。聞いてみると、それは大学入学時にまでさかのぼることがわかりました。

“大学入学の時点で、バスケに関連した進路選択は考えていませんでした。目標はあくまで「大学で日本一になること」。大学でバスケットを完結させるという気持ちで入学しています。

僕はもともと、中高時代からトップレベルでプレーしていた選手ではありません。学校が進学校だったので、適当にバスケをやって、適当に遊んで、国公立大や早稲田・慶應に行ければいいなというような感覚でした。でもバスケを頑張っていたら、高校2年生の時に学年で唯一国体選手に選ばれ、青学から誘いをいただいて……。

最初は青学に行く気もなかったのですが、高3のインターハイ予選が2回戦敗退というすごく悔しい結果だったので、親の反対を押し切って入部を決めました。「このままじゃバスケを終われない。頑張らせてほしい」と。

大学に入学して一番驚いたのは、ここまで自分が通用しないのかということでした。高2から国体に選ばれていたし、大学入学前のトレーニングでは先輩たちに負けない数値が出ていたので「やっぱり俺、すげーじゃん」って思っていたのに、入学して実戦練習に参加したらまるで歯が立たないんです。何をやっても怒られるし、得意だったはずのアウトサイドシュートもまったく入らないし、軽いイップスのような感じでした。

常にやめたいと思っていましたが、それでも走るとか、低い姿勢をとり続けるとか、きついことだけは誰よりも頑張ろうと思っていました。「そこで負けたらもう生きる道がない」と思いながら。

あとはディフェンスですね。当時の青学はオフェンスに比べてディフェンスが弱かったので、ディフェンスなら自分もチャンスがあると思い、練習中でいつも2つ上の安藤周人さん(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)をマークしていました。最初はボコボコにやられていましたが、2年の新人戦あたりから手ごたえを得られて、3年からはスタートとして試合に出場するようになりました。”

喪失感は大きい。だからこそ、新たな道で大きな喜びを手にしたい

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インカレは松葉杖でのベンチ入り。最終戦で26秒出場し、2本のフリースローを沈めた

「目標を達成しなければ、自分に負けた気がして嫌」。不屈の精神で強豪のスタメンを勝ち取った戸田選手でしたが、残念ながら日本一という目標には届きませんでした。特に、ケガが続き、秋以降ほとんどプレーできなかった今年度は「できることなら1年前からやり直したい」と振り返る苦しい1年に。思うような結果は得られなかったけれど、それでも戸田選手は「青学に来てよかった」と4年間を振り返ります。

“1年のときはあれほど早く過ぎろと思っていた4年間でしたが、終わってみたら本当にあっという間でした。これまでに早く終わってしまうのかと、びっくりしています。

普通の公立高校でプレーしていた僕が、青学という強豪で4年間やり通せたことは、大きな自信になりました。チームは一つの組織だということに気づけたことも、大きかったです。高校時代は自分が活躍できればそれで満足でしたが、大学ではチームのために動くことがいかに大切かを学べました。両親、監督、友達、同期……。自分を支えてくれる人の期待に応えることって、こんなに大きな喜びになるんだなあと。

たぶん僕に限らないと思いますが、スポーツに打ち込んできた人たちのモチベーションって、そのスポーツが好きだということだけでなく、プレーしている間は自分が特別な存在と感じられるということもあると思うんです。生きていると実感できるというか、人生で一番楽しいことをしているという充実感というか……。だからこそ、競技を離れ、そういう時間がなくなってしまうことへの恐怖心、不安感は正直すごく強いですね。これから何10年も人生は続くけど、どうやって生きていけばいいんだろう。ふとしたときにそんなことを考えてしまうんです。

試合のたびに味わう、言葉にしづらい緊張感とか、きつい練習の中でもチームメートのためにあと1本を頑張らなきゃいけないという気持ち。そういった特別な感覚がなくなるんだと思うと、すごくさみしいですね。Bリーグに進む同期たちがうらやましくも感じますが、過去に執着するのも嫌です。同じような高揚感や緊張感が味わえるものを見つけていくのが、今後の人生の課題なのかなと思います。

まだ先のことはわかりませんが、新聞に掲載されるような大きなことを成し遂げてみたいという思いは強いです。そしていつかは、Bリーグや大学スポーツの発展に貢献できるような仕事ができたらと思っています。”

***
戸田晃輔(とだ・こうすけ)
1996年生まれ、神奈川県出身。県立湘南高〜青山学院大。ポジションはスモールフォワード。183センチ87キロ。希望の業界に再チャレンジするため、大学卒業は秋の予定。「就職活動を続けながら、できるだけチームに帯同できればと思っています」。

文・写真=青木美帆
プレー写真=柏木恵子

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