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2018年11月24日掲載 健康になりたきゃ「レベッカ」のこの曲を聴け!

健康になりたきゃ「レベッカ」のこの曲を聴け!

日経トレンディ2018/11/24掲載
BS12 トゥエルビで放送中の『ザ・カセットテープ・ミュージック』で、80年代歌謡曲の優れた論評をくり広げるマキタスポーツ氏とスージー鈴木氏が、同世代のビジネスパーソンに「歌う処方箋」を紹介するこの企画。今回は、オヤジ世代にとっての最大の関心事とも言える「健康」がテーマだ。家族を守り、これからの自分の人生を充実させていくために、何より大切なものだとわかっちゃいるけど、つい、深酒、暴飲暴食、運動不足が止まらない。そんな悩みを抱える読者に、マキタ&スージーが「健康になるための曲」を伝授してくれた。

「あれもしたい、これもしたい!」が健康への近道

――今回のテーマは、我々の世代なら誰でも気になる「健康」です。

マキタスポーツ(以下:マキタ):(元気な声で)健康!

スージー鈴木(以下:スージー):大事ですね。

――では、スージーさんの「健康」にまつわるお薦めの曲をお願いします。

スージー:私は、まず「何のために健康になるか」という目的論を整理したいと思います。

――と言いますと?

スージー:年を取ってアラフィフになっても、目的、つまり「やりたいこと」がたくさんあったら、健康でいられるんじゃないかって。実際、世の中の健康なおじいさん、おばあさんっていうのは『まだ、あれもしたい、これもしたい!』っていう目的があって、「病気なんかになってる場合じゃないぞ!」と思っているから、健康なんじゃないかと。

――なるほど。

スージー:なので、私がお薦めする歌は、1986年に発売されたREBECCA(レベッカ)のシングル『RASPBERRY DREAM』(作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫)にカップリングされていた曲『MOTOR DRIVE』(作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫)です。

マキタ:おぉっ!

スージー:やりたいこと、ありすぎるの……(と、つぶやいてから、やおら、元気に歌い出す)

〽 やりたいコト ありすぎるの
 あきらめられないけど 現実はシビア
 いそがなきゃ 出おくれちゃう
 時代は Motor Drive

一同:(拍手喝采)

スージー:ボーカルのNOKKOの書いた、80年代中盤の女の子の心をわしづかみにした歌詞なんですけど、これは当時、バブル前夜だった日本の女の子の「やりたいことがありすぎる!」っていう気持ちを代弁しています。そのテンパってる感じというか、“時代がMOTOR DRIVE”っていう気持ちをおじさんになっても、持っていいんじゃないか、と。

マキタ:うん、うん。

スージー:アラフィフになっても「やりたいことはまだまだあるぞ!」と。

――たとえば、どんな「やりたいこと」があるのでしょうか?

やりたくなったら健康を害するものがセーブされる

スージー:私の周りにいるんですよ。朝早くから犬の散歩をしているおじいさんが。

――えぇ。

スージー:“MOTOR DRIVE”っていう80年代の空気とは少し違いますけど、私の個人的な野望としては、「あぁー、僕も早起きして、犬の散歩がしてみたい!」って。

――あのぉ……ほかにも、ありますか?

スージー:毎朝、公園プールに行って100m泳ぎたい!

――「野望」と言うには、なんだか、つつましすぎるような気もするのですが?

スージー:そんな健康的な野望から始まって、ライターとしては音楽評論だけじゃなく、たとえば小説を書いてみたい、とか。

マキタ:いいですね。

スージー:もっと書きたい! もっといろんなことがしたい!! っていう気持ちが今でもあるんですが、そう思ったら病気なんかしてる場合じゃないぞ、と。

――そういえば、「孤独」がテーマの対談で「65歳を目標に『転調全書』を書きたい」と言われました。

マキタ:そう、そう。

スージー:やりたいことが、まだまだある。やりたいことがあれば、健康であり続けなければならなくなる。たとえば明日の朝、すごく楽しいことがあれば、今日の夜、深酒してる場合じゃないって話になるじゃないですか。

一同:(うなずく)

スージー:っていうふうに、やりたいことがあれば、必然的に「健康を害するもの」がセーブされていくんじゃないかと。

マキタ:うん、うん。

スージー:さっきのは1番のサビでしたが、2番はこう。

〽 やりたいコト 遠すぎるの
 いくら手をのばしても かげろうのようね
 いそがなきゃ 出おくれちゃう
 時代は Motor Drive

あとね、これもいいです。

〽 ほしいものはいつも 影ふみ
 足もとで にげてくものね

この歌詞、何を言ってるのかというと、本当に自分のやりたいこと、ほんとに欲しいものは、なかなかつかめないってことを歌ってる。NOKKOのええ歌詞ですわ。

マキタ:(大きくうなずく)

スージー:ですから、80年代中盤の女の子に向かって歌われた『MOTOR DRIVE』を、今、平成末期のシニアがしっかりと受け止めれば、健康的な生活ができるんじゃないでしょうか。

――ただ、「やりたいことある?」って聞かれても、そう簡単には思いつかないと思うんですけど……。

健康のため“シニア・米津玄師”を目指そう

スージー:一般的にはそうみたいですね。「定年したら、何していいか分からない」って。だからこそ、積極的に「やりたいこと」を持てばいいんじゃないですかね。

――「積極的に持てばいい」って言われても、じゃあ、どうやってやりたいことを見つければいいんでしょうか。

スージー:さっき言った犬の散歩でも、100mの水泳でもいい。そして、半年に1回は、さすらい鉄旅……念のため、確認しておきますが、アラフィフの「鉄道さすらい旅」の基本は「在来線限定」です。

――(ちょっと困った感じで)はぁ。

スージー:ただ、シニアですから、特急を使ってもいいと思うんですよね。「特急あずさ」で行って、松本駅から「特急しなの」に乗り換えて、そこから……。

――あのぉ、今回のテーマは「旅」ではなくて「健康」ですから。

スージー:とにかく、やりたいことは卑近なことでいいんじゃないかと思うんです。もし、健康を害したら、それすらもできなくなりますから。

――どんなにささいなことでもいいから、やりたいことがみつかりさえすれば、「健康」でいることの大切さを自然と意識できるようになるということですね。

スージー:ただ、あんまり定型パターンの“やりたいこと”はお勧めしません。

――定型パターン?

スージー:たとえば「そば打ち名人」みたいな。本当にやりたかったことであれば話は別ですが、定年後の仕事として一般的によく聞く話だからというのが理由なら、何も「そば打ち」じゃなくてもいいんじゃないか、もっと自由でいいんじゃないかって。

――たとえば?

スージー:マキタさんみたいにミュージシャンになるっていうのも、いいんじゃないですか。

――アラフィフになった今から「ミュージシャン」を目指すんですか?

スージー:今だからこそです。自分の音楽や演奏を発表しようと思ったら、YouTubeとか、ニコニコ動画とか、すぐ動画をアップロードできるんですよ。現代ほどミュージシャンになれるインフラが整っている時代はない。そんな時代のアラフィフにこそ、もう1回、夢をかなえるチャンスが与えられている。

マキタ:その通り。

スージー:50代、60代になっても、ボーカロイドを使って“シニア・米津玄師”になれるかもしれない。

――なるほど。

マキタ:確かにYouTubeとかでよく見かけますよ、“手もとだけの浜田省吾”とか。ギターを弾く手もとだけが画面に映っていて(といって、浜田省吾とそっくりな声と歌い方で)。

〽 昨夜 眠れずに泣いていたんだろう?

って。

広報T女史:似てるぅ!!

――1985年発売の浜田省吾の『もうひとつの土曜日』(作詞・作曲:浜田省吾)ですね。

スージー:つい、10年くらい前は、ネットに動画をアップするのはメッチャ難しかったんだけど、今、5秒でできますからね。

“完全無欠のコレステローラー”でイイじゃない!

マキタ:簡単にできるよね。だから“手もとだけ稲垣潤一”もいますよ。

スージー:ドラムを叩きながら?

マキタ:いや、ギターとか弾きながら(と言って、稲垣潤一の特徴をとらえた歌い方で)。

〽 今夜のおまえは ふいに
 長い髪 ほどいて


一同:
(拍手と歓声)

――1982年にリリースされた『ドラマティック・レイン』(作詞:秋元康、作曲:筒美京平)だ。

マキタ:そう。でも、映像は(手で顔の鼻から上と下を区切って見せながら)ここから下しか見えない。

スージー:顔が見えちゃうと、印象がガクッと下がっちゃうから。

マキタ:そう、そう。逆光なんか全然気にしないカメラアングルでやってたりしてますけど、まあ、いいんじゃないかな。

健康になりたきゃ「レベッカ」のこの曲を聴け!

でも、映像はここから下しか見えない……
スージー:それを告知するツイッターとかもありますし、うまくいけば“シニア・ヒャダイン”とか、“シニア・米津玄師”とか、生まれる可能性もあるわけですよ。

――可能性はあるかもしれませんが、そんなにうまくいくものでしょうか。

スージー:私も、今でこそ本とか出させてもらってますけど、音楽評論家の活動が世間に認められ始めたのは40代。それまでずっと音楽の研究を続けていましたが、どうしていいか分からなかった。それが神の配剤で「ツイッター」という武器に出合って、世間に広くアピールできるようになった。それを見た水道橋博士に認められ、マキタさんに認められて、やがて本を出せるようになった。会社員として多忙な40代でもできたということは、定年後ならもっと時間があるわけですから。

――50を超えたら、どんどん発信した方がいい?

スージー:基本的には、やりたいことがあればなんでもいいんですけど、時間ができるわけですから、もう1回、自ら発信して、世の中に打って出るっていうのもいいんじゃないですか。

――でも、アラフィフのわれわれが一体何を歌えばいいんでしょうか。われわれの世代に共通した話題といえば、恋でも人生でもなく、健康……っていうか、病気の話ばっかりですし……。

マキタ:盛り上がりますね。まだ未病ですけど、来るべき生活習慣病とか「あちこちが痛ぇ!」みたいな話は、オヤジ世代なら誰もが盛り上がれる。

――それを音楽に乗せて歌うんですか?

スージー:そうですよ。年を取ったら、ロックンロールとコレステロールの話が両方出てくる。アラフィフは、ロックンローラーであり、コレステローラーでもあるんです。

一同:(笑)

マキタ:それに、若い子が実感こめて歌えるのは“心の痛み”だけしかない。でも、アラフィフは“体の痛み”まで歌える。

スージー:はっはっは!

マキタ:メンタルのペインだけじゃなくて、フィジカルのペインも含めた両方の“痛み”をネタにできるっていうのは、アラフィフ・コレステローラーの魅力であり、特権じゃないかな。

スージー:まさしく“完全無欠のコレステローラー”ですね。

――では、マキタさんが考える「健康にまつわる歌」は、なんでしょうか。

マキタ:私がお薦めする曲は、山下達郎の『MY MORNING PRAYER』(作詞・作曲:山下達郎)です。

(つづく)

(構成/佐保 圭)

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