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2021年6月6日放送 第89回ボーナス・トラック:BLUE HEARTS の歌詞を味わう!

第89回ボーナス・トラック:BLUE HEARTS の歌詞を味わう!

■THE BLUE HEARTS『1985』
作詞:甲本ヒロト
作曲:甲本ヒロト
編曲:THE BLUE HEARTS
アルバム『SUPER BEST』
1995年10月16日

第89回「ずっと80年代でいいのに」のボーナス・トラックとして、番組本編で『人にやさしく』を取り上げたTHE BLUE HEARTSの歌詞を味わってみたいと思う。まずは、80年代後半の大学時代に、深夜のAMラジオで聴いて、衝撃でベッドから飛び起きた経験のあるこの曲。

「ベッドから飛び起きた」とは、よく使われる言い回しだが、大学時代の私は感受性が豊かだったのか、本当に「飛び起きた」ことが何度かある。1つはこのBLUE HEARTS『1985』、もう1つはクレヨン社『痛み』(これら2曲は番組内で言及した)、そしてもう1つは、こちらは清水ミチコの物まね作品『五人の港』。すべて確か、金曜1部の『鴻上尚史のオールナイトニッポン』だった気がするが、このあたり、今となってはさすがに記憶が頼りない。

飛び起きたのは、曲の最後に入っているこのフレーズを聴いた瞬間である――「僕たちを縛り付けて 一人ぼっちにさせようとした 全ての大人に感謝します 1985年 日本代表BLUE HEARTS!!」。激しく、強く、でも途方もなく優しい。一言で言えば、何と気高い言葉だろうか。

作詞・作曲は甲本ヒロト。驚くべきは、甲本ヒロトと真島昌利という2人の「詩人」が、1つのバンドに在籍したことだ。少しだけ大げさに言えば、ジョン・レノンとポール・マッカートニーが同じバンドにいたという奇跡に近い。さらに驚くべきは、そんな2人の「詩人」が、未だに同じバンドで活動を続けているということ。

あれから、BLUE HEARTSを超える演奏能力や作曲能力を持つバンドは山ほど出て来たものの、BLUE HEARTSを超える「詩人」のいるバンドは、ぶっちゃけ、どこからも現れなかった。日本ロック界最後の詩人が現れてから、もう36年が経とうとしている。

■THE BLUE HEARTS『TRAIN-TRAIN』
作詞:真島昌利
作曲:真島昌利
編曲:THE BLUE HEARTS
1988年11月23日

こちらも個人的な思い出のある曲である。「ベッドから飛び起きた」ほどのドラマティックな思い出ではなくて恐縮だが、大学3年の秋、神奈川県二俣川の免許センターで普通免許の筆記試験に合格して、その足で、駅前のレコード店に向かって、この曲の短冊形CDシングルを買ったのだ。実技試験に苦労した経験もあり、合格したことがとても嬉しく、短冊形CDシングルを手に取ると、今でも、あのときの達成感がよみがえって来る。

TBSドラマ『はいすくーる落書』主題歌。タイトルバックに映し出されていたのは、ドラマの舞台(大田区羽田あたり)の近くを走っていた京浜急行羽田線である。箱根駅伝の踏切で知られたあの路線。当時はまだ、「羽田線」と言いながら、羽田空港に直結していないという、実に使い勝手の悪い路線だった。羽田の下町を舞台に、迫真の演技を見せたのは斉藤由貴。目をキョロキョロさせる情報量の多い演技は、今の森七菜そっくり。

余談が続いたので戻す。こちらは2人目の詩人=真島昌利の作品である。甲本ヒロトに比べて、真島昌利の歌詞は、より文学的で、比喩的で、そして鋭い。しかし、大ヒット曲となった曲だが、歌詞の凄みについては、十分には味わわれていないのではないだろうか。

「見えない自由がほしくて 見えない銃を撃ちまくる」という韻(自由・銃)を活かしたフレーズもいいが、それよりも「弱い者達が夕暮れ さらに弱い者をたたく」がいい。いいというか、何という現代性だろう。2021年の日本を予期したようなフレーズではないか。33年前に作られた曲が、2021年における「新自由主義」とやらの末路を警告する。この列車(TRAIN)は33年間、ノンストップで走り続けている。

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