
■鈴木茂『八月の匂い』
作詞:松本隆
作曲・編曲:鈴木茂
アルバム『BAND WAGON』
1975年3月25日
第84回の企画「スメル歌謡祭」で私は、はっぴいえんど『12月の雨の日』の「雨」が、いつ、どこで降ったものなのかという謎を、丹念に検証した(正解「1969年11月30日夜、六本木通り西麻布近辺の雨」)。というわけで、今回のボーナス・トラックは「松本隆の『匂い』を嗅ぎまくる!」と題して、松本隆系スメルを嗅いでいきたい。
まずは、鈴木茂のアルバム『BAND WAGON』収録の『八月の匂い』。タイトルに「匂い」が入っている。松本隆&鈴木茂ということで、はっぴいえんど再来という感じがある。大滝詠一とは無縁も、鈴木茂の歌い方が大滝詠一そっくりなのが面白い。大滝の、あの独特の歌い方には、高い感染力があるのだろう。
さて、この『BAND WAGON』というアルバムは、傑作の誉れが高い。当然音楽性も高いのだが、それ以上に、若き鈴木茂が、ストラトキャスター1本かついで、単身ロスアンジェルスに乗り込んで作ったという「物語性」の高さが、このアルバムを傑作たらしめていると思うのだ。
――だからティン・パン・アレーでやっていたサウンドとは区別したいと思った。だからキャラメル・ママのメンバーには相談しないで、単身アメリカに行くことにしたんだ。(中略)今まで味わったことのないフレーズによる刺激、予想もできないようなミュージシャン同志の反応が欲しかった。アメリカまで行った大きな狙いはそこにあるんだ(鈴木茂『自伝 鈴木茂のワインディング・ロード』リットーミュージック)
「日本ロック界のジョン万次郎」とでもいうべき、鈴木茂の果敢な行動がなかったならば、日本ロックの歴史は数年遅れていたかもしれない。若き23歳の日本人青年が、ストラトキャスター背負って、ロスに殴り込んで、あのリトル・フィートとガチンコでセッションしたのだから。
――さて今後、果たしてこの路線でこのアルバムを超える作品を作れるかどうか。それはぼくにも分からないし正直言ってそんな自信はない。『バンドワゴン』は間違いなくぼくの音楽人生における金字塔だからね(同書)
『BAND WAGON』には、他の鈴木茂作品にはない、独特な「匂い」がある。その「匂い」は「金字塔」の高みから発せられている。
■寺尾聰『ルビーの指環』
作詞:松本隆
作曲:寺尾聰
編曲:井上鑑
1981年2月5日
いい意味でも悪い意味でも、近藤真彦『スニーカーぶる~す』(80年)が、松本隆の人生を変えたことに間違いはないだろう。松本隆だけではなく、筒美京平の人生をも変えた。
作詞:松本隆、作曲:筒美京平による『スニーカーぶる~す』がとんでもなく売れたことに加えて、この曲が、何というか通俗的、さらに言えば「ベタ」だったことが大きかったと思うのだ。
70年代の松本隆、筒美京平は、誤解を恐れず言えばオルタナティブだった。そして、この東京生まれの2人組は、田舎臭く湿った「歌謡曲」のアンチだったように思う。しかし『スニーカーぶる~す』は、メインストリーム感が強く、かつ「東京臭」が弱い。『スニーカーぶる~す』がヒットした瞬間、「80年代の松本隆、筒美京平」が、オルタナティブではなく、シーンのど真ん中に鎮座ましましたと思うのだ。
昨年の9月1日に放送されたフジテレビ『石橋、薪を焚べる』という番組で、石橋貴明に対して松本隆は、『ルビーの指環』に関してこう発言したという。
松本:「スニーカーぶる~す」がミリオン行った直後で、同じ「匂い」がしたから、「これは行くな」と思って。
石橋:やっぱり「匂い」なんですか。
松本:「匂い」ですね。
(『フジテレビュー!!』サイトより)
『スニーカーぶる~す』と『ルビーの指環』に、音楽的共通点は乏しい。しかし、当時キレッキレの松本隆は、この2曲に同じ「匂い」を感じた。その考えは正解だったようで、『ルビーの指環』も特大ヒットとなった。
では、『スニーカーぶる~す』と『ルビーの指環』に共通した「匂い」とは、何だったのだろう。まずは「売れる匂い」ということ。加えて、当時の強い「翔んでる女」に対して、虚勢を張る男のダンディズムの「匂い」だろうか。
1980年~1981年は、まさに「松本隆黄金時代」。松本隆の筆先から放たれた「匂い」が、日本全国津々浦々に立ち込めている。
2021年4月11日放送
第86回「バンドやろうよ2」のボーナス・トラックとして、バンドの背骨である「リズムセクション」のことを取り上げたい。「リズムセクション」、音楽に興味のない方には耳馴染みのない言葉だろう。「バンドの中のリズム担当」くらいの意味で、定義は曖昧なのだが、一般的にはドラムスとベースのことを指す場合が多い。
2021年4月4日放送
ちょうど40年前の1981年を特集した第85回のボーナス・トラックとして、81年3月21日に発売された大滝詠一の傑作中の傑作『A LONG VACATION』(ロンバケ)のことを書いておきたい。
2021年3月7日放送
第83回「ルパン三世と大人のアニソン特集」のボーナス・トラックとして今回は、番組の中で何度か触れていて、個人的にも敬愛する作曲家・小林亜星のアニメ作品を振り返りたいと思う。
2021年2月14日放送
第82回「歌謡曲における女性像の変容と変遷」のボーナス・トラックは、番組本編でも触れた、阿久悠の作詞世界における女性像を見ていきたいと思う。
2021年2月7日放送
第81回「自宅で上達!カラオケ教室」のボーナス・トラックは、日本の歌謡曲ボーカルの最高峰である、ちあきなおみの話をしたいと思う。
2021年1月10日放送
第80回『よくわかるペンタトニック講習会』で少し触れた「70年代前半の吉田拓郎によるペンタトニックのメロディが、いかに衝撃的だったか」という話について、このコラムで補足しておきたい。
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80年代にカセットテープで聴いていたあの名曲。マキタスポーツとスージー鈴木の「音楽ずきおじさん」が独断で熱く語ります。
北川大介とさくら舞が組み、有望新人からスターまで幅広くゲストを招き、「歌手を目指すきっかけとなった心の一曲」や「デビューのいきさつ」など普段聞けないようなトークを展開しながら、最新曲を紹介いたします。
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