
■ちあきなおみ『喝采』
作詞:吉田旺
作曲:中村泰士
編曲:高田弘
1972年9月10日
第81回「自宅で上達!カラオケ教室」のボーナス・トラックは、日本の歌謡曲ボーカルの最高峰である、ちあきなおみの話をしたいと思う。
「歌謡曲」とは何か。こんなに曖昧な定義の言葉も珍しいと思うが、対して私が答えるのは「ちあきなおみ『喝采』を頂点とする一連の音楽」。この曲を頂点に登り詰めさせるのには、歌手自身の人生を組み込んだメタで劇的な歌詞や、親しみやすくかつ技巧的なメロディの貢献もあるが、ちあきのボーカルの貢献が、やはりとても大きい。
ただし、下で触れる『紅とんぼ』とは違い、『喝采』のボーカルは、ちあきなおみが、まだ地肩で投げているというか、テクニックではなく素質・素材で勝負しているという感じがする。つまりは、ちあきの天性の声質を味わう曲だと思うのだ。
真心ブラザーズの桜井秀俊は、その声質を「ノドにオーバードライブが内蔵されている」と表現した。見事な表現だと思う。気持ちよく歪んだブルージーな声質が、それほどビブラートをかけず、完璧なピッチですーっと伸びていく感じ。
非常に乱暴な比喩で言えば、ちあきなおみの声は、ボーカルというよりギターに近かった。それもオーバードライブ/ディストーションの効いたハードロックの。そう言えば、『喝采』が発売された1972年といえば、ディープ・パープルが来日して、日本武道館と大阪フェスティバルホールで、白熱のライブを見せつけた年だ。
1972年暮れ、日本中のAMラジオから、ちあきなおみの『喝采』が聴こえる。日本中のレコード屋から、ディープ・パープル『ハイウェイ・スター』のライブ演奏が聴こえる。翌1973年の秋、「オイルショック」が突如勃発して、高度経済成長の波に終止符が打たれることを、まだ誰も知らない。
■ちあきなおみ『紅とんぼ』
作詞:吉田旺
作曲:船村徹
編曲:南郷達也
1988年10月5日
石田伸也著『ちあきなおみに会いたい』(徳間文庫)に、こういうシーンが書かれている。ちあきなおみがビリー・ホリデイを演じる一人芝居の中で、突然客席から「なおみちゃん!これプレゼント、受け取って!」と雰囲気をぶち壊す嬌声が上がる。それに対して、ちあき曰く――「私はなおみじゃないわ、ビリー・ホリデイよ」。観客から拍手喝采!
さて、80年代後半の段階で、ちあきなおみのボーカルが、いよいよ完成に至ったと思う。最近、BSデジタルなどでたまに見る、ちあきの特集番組などで、数々の名唱を振り返ることができるが、日本国民に広く、ちあきの凄みを見せつけたのは、1988年のNHK紅白歌合戦における『紅とんぼ』だと思う。
ビリー・ホリデイになりきった一人芝居と同じく、88年紅白での『紅とんぼ』も、いよいよ閉店となる、さびれた新宿の飲み屋の女将(おかみ)になりきっていた。艶やかで、いじらしく、枯れた女将。
つまりは「音楽」というより「演劇」なのではないか。『紅とんぼ』の水準まで行き着けば、もう声がどう、ピッチがどうというより、シアトリカルな空間・時間全体の芸術として捉えなければならないと思う。そこまでの水準にまで踏み込めたのは、日本ではたった2人だろう。ちあきなおみと、美空ひばりだ。
こういうシーンを夢想する。先の一人芝居の中で、突然客席から「なおみちゃん!日本のビリー・ホリデイ!」という掛け声がかかる。それに対して、ちあきが――「私は日本のビリー・ホリデイじゃない、世界のちあきなおみよ」。観客からスタンディング・オベーション!
2021年9月12日放送
第1回「A面に入れたいサザンの名曲」の冒頭でかけた曲。『ザ・カセットテープ・ミュージック』の歴史はサザンから始まりました。
2021年9月5日放送
第95回『歴史探訪~JPOPの歌い方~』のボーナス・トラックは、その「JPOPの歌い方」の始祖として、つまりは、岡村靖幸、佐野元春、桑田佳祐、矢沢永吉らの始祖として、日本で最初に「Baby!」を「ベイベエ!」と発音した萩原健一を、ボーカリストとしてリスペクトしたいと思う。
2021年8月8日放送
第94回「全日本名曲選手権」では、洋邦様々な名曲の名カバーを取り上げた。そこで今回は、まず、一時期大ブームとなった「カバーアルバム」のことを考えてみたいと思う。
2021年8月1日放送
第93回「オトナのためのジャニーズソング講座」のボーナス・トラックとして、昭和・平成・令和、3元号にわたるジャニーズ帝国の礎(いしずえ)=「たのきんトリオ」を世に知らしめるキッカケとなった、TBSドラマ『3年B組金八先生』(第1シリーズ)に関する音楽、通称「金八ポップス」=略称「K-POP」を取り上げてみたい(なお、この通称・略称は、いま私が勝手に作った俗称である)。
2021年7月11日放送
第92回「この曲聴くとお酒飲みたくなっちゃうよね」のボーナス・トラックとして、古今東西の「カクテル・ロック」をご紹介したい。これ、カクテルの名前がタイトルとなっている曲のこと。どんな曲がありますやら……。
2021年7月4日放送
第91回「昭和不良列伝」の私のパートで言いたかったことは「ロックの不良性とは、ビート(八分音符)とスウィング(三連符)の融合したところにある」。
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