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2021年1月10日放送 第80回ボーナス・トラック:「『吉田拓郎ペンタ』の衝撃!」

第80回ボーナス・トラック:「『吉田拓郎ペンタ』の衝撃!」

■よしだたくろう『イメージの詩』
作詞・作曲:よしだたくろう
1970年6月1日

第80回『よくわかるペンタトニック講習会』で少し触れた「70年代前半の吉田拓郎によるペンタトニックのメロディが、いかに衝撃的だったか」という話について、このコラムで補足しておきたい。まずは、初期よしだたくろう(平仮名表記)の代表作にして、最高の問題作とも言える『イメージの詩』である。

「♪これこそはと信じれるものが この世にあるだろうか」のあの曲である(どうでもいいことだが、この時代から「ら抜き言葉」があったのか)。この曲が問題作となったのは、衝撃的な歌詞によってである。中でもパンチラインは「♪古い船をいま動かせるのは 古い水夫じゃないだろう」。戦後生まれの若者・吉田拓郎が、大人に対してツバを吐いているようなフレーズだ。

そんなメロディが、完全ペンタトニックで歌われている。ここでのペンタトニックの意味は「あけっぴろげ」ということだ。ファやシという装飾的な音を入れず、長髪の若者が、ストレートに思いを吐き出すときに似つかわしい、原始的でストレートな音階。

「井上陽水は脅威ではなかったが、吉田拓郎は脅威だった」という意味のことを、筒美京平は語っていた。若き筒美が構築しつつあった、ファとシを含む洋楽的でエレガントな音楽世界を、広島から出てきた長髪・長身の若者が「♪ド・レ・ミ・ソ・ラ」という普段着の音階によって、素足で踏み潰していく。日本の大衆音楽が、それまでにはなかった大変革期を迎えようとしている――。

■よしだたくろう『青春の詩』
作詞・作曲:よしだたくろう
1971年4月25日

1970年11月1日に発売されたアルバムのタイトルチューンであり、翌年4月にシングルとしてリリースされた曲。長髪・長身、つるっとしたハンサムの吉田拓郎は、一気に人気を獲得、「フォーク界のプリンス」と呼ばれるようになっていく。

こちらも、後半少しだけファやシが出てくるものの、ほぼ全編ペンタトニックで作られている。かつ、歌詞の内容が抽象的な『イメージの詩』に比べて、こちらは具体的に、当時の若者のあり方を、グサッグサッと突きつけてくる。

――「♪SEXを知りはじめて 大人になったと大よろこびすること ああ それも青春」
――「♪親にかくれて 酒・タバコ・睡眠薬 はては接着剤 シンナー遊び ああ それも青春」

おいおい、すごいな、拓郎くん。

先に「戦後生まれの若者が、大人に対してツバを吐いている」と書いたが、重要なことは、1946年=戦後生まれの吉田拓郎に対して、当時の「大人」は戦争体験があるということである。さらには、「大人」の中でも中年男性の多くには、軍隊体験すらあるということ。

普段着のようなペンタトニックに乗せて、グサッグサッと挑発する長髪が、当時の社会の中で、どれほど跳ねっ返りだったかが、分かっていただけるだろうか。

それから時代が進み、吉田拓郎に脅威を感じた筒美京平は、松本隆という援軍を得てフォーク/ニューミュージックに接近し、吉田拓郎は、森進一やキャンディーズ、石野真子などから歌謡曲に接近していくこととなる。

HP限定ボーナス・トラック

第86回ボーナス・トラック:「Cのリズムセクション!」

第86回ボーナス・トラック:「Cのリズムセクション!」

2021年4月11日放送

第86回「バンドやろうよ2」のボーナス・トラックとして、バンドの背骨である「リズムセクション」のことを取り上げたい。「リズムセクション」、音楽に興味のない方には耳馴染みのない言葉だろう。「バンドの中のリズム担当」くらいの意味で、定義は曖昧なのだが、一般的にはドラムスとベースのことを指す場合が多い。

第84回ボーナス・トラック:「松本隆の「匂い」を嗅ぎまくる!」

第84回ボーナス・トラック:「松本隆の「匂い」を嗅ぎまくる!」

2021年3月14日放送

第84回の企画「スメル歌謡祭」で私は、はっぴいえんど『12月の雨の日』の「雨」が、いつ、どこで降ったものなのかという謎を、丹念に検証した(正解「1969年11月30日夜、六本木通り西麻布近辺の雨」)。というわけで、今回のボーナス・トラックは「松本隆の『匂い』を嗅ぎまくる!」と題して、松本隆系スメルを嗅いでいきたい。

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