■新田恵利『冬のオペラグラス』
作詞:秋元康
作曲:佐藤準
編曲:佐藤準
発表:1986年1月1日
第62回は「アイドルソングHOMME」ということで、ジャニーズを中心とした男性アイドルの楽曲を紹介した。そのボーナス・トラックとして今回は、その逆「アイドルソングFEMME」として、日頃ほとんど語られることのないおニャン子クラブ系の曲を取り上げたい。
まず真っ先に取り上げたいのは新田恵利『冬のオペラグラス』である。と言っても、この曲の魅力は、すでに私はアチコチで書き散らしていて、熱心な方には食傷気味かも知れない。それくらい『冬のオペラグラス』は、私にとって魅力に溢れているのだ。ロネッツとビーチ・ボーイズの融合であるイントロに象徴されるように、この曲のベースには、アメリカンポップスのエッセンスがある。
最近のアイドルポップスは、アメリカンポップス含有率0%。ノンアルコールビールのようなもの。例えば最近、歌番組を眺めているときに、アイドルポップスにアルコールや麦芽やホップがしっかりと効いていたあの頃を、懐かしく思い出すのである。
■福永恵規『風のInvitation』
作詞:秋元康
作曲:高橋研
編曲:佐藤準
発表:1986年5月21日
第51回「世界の中心で、愛をさけぶおじさん」で、NAGAOKAの最高音質オーディオルームのレコードプレイヤーで聴くために、この曲のシングル盤を持ってきた。正直、その選曲に多少後悔もあったが(笑)、それでも、大音量で聴くこの曲のイントロの、アメリカンポップス的な立ち上がりに圧倒された。
曲としてのスケール感は『冬のオペラグラス』以上である。音が1つのかたまりとなって押し寄せてくる。歌うは、AKBで言えば秋元才加の位置にある、グループ屈指のクールビューティ=福永恵規。
当時売出し中、あっという間に日本を席巻した秋元康による歌詞もぐんぐんと攻めている。パンチラインは「♪北極星(ポーラスター)はプラタナス」。前年に傑作・中村あゆみ『翼の折れたエンジェル』を書き上げた高橋研は、ここでも抜群に冴えている。こんな名曲、今の女性アイドルも歌ってくれたらいいのに。