
第40回「異端児特集」のボーナス・トラックは、番組で取り上げた「異端児」な音楽家が生み出した野球ソングを2曲ご紹介したい。
■矢野顕子『行け柳田』
作詞:矢野顕子
作曲:矢野顕子
編曲:矢野顕子
1977年8月5日
と、唐突に野球ソングを取り上げるのには理由があって、この春に発売した私の本=『いとしのベースボール・ミュージック』(リットーミュージック)に、第40回「異端児特集」の番組本編で取り上げた「異端児」音楽家2人による野球ソングが、偶然取り上げられたからだ。
まずは矢野顕子。「矢野顕子と野球」のつながりなど、一般にはイメージしにくいと思うが、実は矢野はかなりの巨人ファンだったらしく、この『行け柳田』というシングルは、巨人の柳田選手のことを歌った作品なのである。
巨人の柳田選手って?――柳田真宏、通称「マムシ」。1967年に九州学院高から西鉄ライオンズに入団し、69年に巨人に移籍。この曲が発売された77年頃は「巨人史上最強の五番打者」と呼ばれる。その後、阪急に移籍後、また巨人に戻り82年に引退。そして驚くべきことに引退後は、演歌歌手としてデビューするのだが。
輝かしいキャリアを誇る矢野顕子の最初期のシングル。前年の衝撃的なデビューアルバム『JAPANESE GIRL』に続いて、この『行け柳田』なのだから、その振れ幅たるや。当時の音楽シーン全体が、矢野の才能を持てあましていた感じを思い出す。
■忌野清志郎『ダイアモンドが呼んでいる』
作詞:忌野清志郎
作曲:忌野清志郎
2006年10月4日
アルバム『夢助』収録
生前最後のアルバムとなった傑作『夢助』に収録。当時、ミズノの野球用品のCMソングにもなったので、忌野清志郎独特のあの歌い方で歌われる「♪ダイアモンドが~呼んでいる~」というフレーズを覚えている人も多いと思う。
忌野は生前、近鉄ファンや中日ファンであることを公言していた。中日が優勝したとき(99年)、テレビ朝日の『ニュースステーション』に出演し、久米宏の前で(何故か)ホラ貝を吹いて喜んでいたことを憶えている人も多いだろう。
先の『いとしのベースボール・ミュージック』は、『週刊ベースボール』誌に17年間書き続けた野球ソングの紹介コラムをまとめたもの(現在も連載中)。07年のそのコラムで私は、この『ダイアモンドか呼んでいる』について、こう書いた。
――私がRCサクセションのボーカルとして、さまざまな成功と伝説を残しながら、また熱狂的な中日ファンとしても知られる忌野氏が、昨年突然、自らが喉頭(こうとう)癌であることを発表し、ファンを驚かせ、悲しませた。しかし、現在は療養と並行して活動を再開。ファンの前に元気な姿を見せ始めている。ステージというダイアモンドが、忌野氏を呼んでいる。
09年5月2日、忌野清志郎永眠。ステージというダイアモンドに呼ばれ続けた「キング・オブ・ロック」が、ついに天国に呼ばれた日となった――。
第53回(特番):歌いたくなるブライアン・メイのギターソロ!
2019年12月1日放送
特番「BS12は12歳!ハワ恋カセット4時間スペシャル」のボーナス・トラックとして、オンエアでも紹介した「歌いたくなるブライアン・メイ(クイーン)のギターソロ」を、あと2曲紹介しておく。
第52回「ソニー系オールスターズ、完成」
2019年11月10日放送
第52回「バンドやろうよ特集」のボーナス・トラックとして、番組内で私が選んだ「ソニー系オールスターズ」(ベース:江川ほーじん/爆風スランプ、ドラムス:川西幸一/ユニコーン、キーボード:KYON/ボ・ガンボス)の追加メンバーを考えてみたい。
第51回「ジョン・レノンは愛だろ、愛」
2019年11月03日放送
第51回「世界の中心で、愛をさけぶおじさん」のボーナス・トラックとしては、やはり「愛と平和のジョン・レノン」のラブソングを紹介するしかないだろう。
第50回「ジミー・ペイジのギター編曲を聴く!」
2019年10月15日放送
収録の合間に、何度となくレッド・ツェッペリンのギタリスト=ジミー・ペイジの話が出た、第50回「おじさん、ギターやめるってよ特集」のボーナス・トラックは、アレンジャーとしてのジミー・ペイジの話をしたい。
第49回「ビートルズの変態クリシェ」
2019年10月07日放送
第49回「コード進行まとめました特集」において私は「クリシェ」を徹底的に分析したが、今回は、クリシェ、ひいてはコード進行まわりのアレもコレもの始祖である、ビートルズのクリシェを特集してみたい。
第48回「ユーミンのポツンと一曲」
2019年09月10日放送
桑田佳祐や山下達郎のレア音源をお届けした第48回「ポツンと一曲」のボーナストラックとして、ここではユーミンの「ポツンと一曲」をお届けしたい。