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2019年02月10日放送 第34回「サザンのウィンターソングを聴く!」

第34回「サザンのウィンターソングを聴く!」

#34「冬特集」のボーナス・トラックは、サザンオールスターズのウィンターソングをご紹介する。夏のイメージが強いサザンだが、冬絡みの楽曲にも、いい曲がちらほらとありまして……。

■サザンオールスターズ『シャ・ラ・ラ』

作詞:桑田佳祐
作曲:桑田佳祐
編曲:サザンオールスターズ
弦編曲:八木正生
1980年11月21日

天下のサザンオールスターズが80年の末に発売した、売上枚数たった6.4万枚の地味なシングルは、歌詞をよく読むと「♪雪になりそな Merry merry merry Christmas, Amen」というフレーズがあり、つまりこの曲は「隠れクリスマスソング」なのである。

この曲が売上に見合わないほどに印象が強いのは、傑作ドラマTBS『ふぞろいの林檎たち』で、よく使われたからではないか。手塚理美(役名「水野陽子」)の出てくるアンニュイなシーンで多用されたと記憶する。

アンニュイなシーンで使われるということは、この曲が、しっとりとした大人のテイストを持っているということだ。『いとしのエリー』(79年)以降アルバム『ステレオ太陽族』までの、AOR(アダルト・オリエンティッド・ロック)指向の強い「アダルト・サザンオールスターズ」路線の真ん中に位置するような曲だ。

歌詞の中のもう1つのキーワードは、原由子が歌うパートの「♪横浜じゃトラディショナルな彼のが」。そのアダルト・イメージと横浜という街が呼応している。米軍住宅が接収される直前の、まだハイカラな横浜。そして「ハマトラ」(死語)という、当時の流行ファッションとの関連も指摘できる。

横浜×アダルトな曲としての『シャ・ラ・ラ』。なお、この曲のリリース日のちょうど3年後となる83年の11月21日、原由子のソロアルバム『Miss YOKOHAMADULT』(=ヨコハマ×アダルト)が発売される。

■サザンオールスターズ『素顔で踊らせて』

作詞:桑田佳祐
作曲:桑田佳祐
編曲:サザンオールスターズ
1981年7月21日
アルバム『ステレオ太陽族』収録

「あけましておメジャーセブンス特集」でかけたこの曲は、実はウィンターソングだったという話。やや無理やりだが、こういう歌詞があるのだから、冬の曲だと解釈していいだろう――「♪2月26日には ささやかな二人の絆」

サザンオールスターズのファンなら、この「2月26日」が何の日か、ご承知だろう。そう、桑田佳祐の誕生日。ちょっとした遊び心だと思うのだが、桑田佳祐は、自身の誕生日を歌詞に入れ込んだのだ。余談となるが、この「二・二六事件」が勃発した2月26日に生まれた人材は、ロックの神様=桑田佳祐に、サッカーの神様=三浦知良なのだから、なかなかに派手だ。

さらに余談だが、この曲に関する個人的な思い出を、拙著『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)に書いた。私にとっては、この曲こそが「東京」だった。

――私が、大学入学のために、大阪から東京に出てきたのは、86年の4月。まだ東京に慣れず、落ち着かない面持ちで立ち寄った、高田馬場の喫茶店のブラウン管から流れてきたのが、サザンが《素顔で踊らせて》を歌うライブ映像である(82年にVHSで市販された『武道館コンサート』の映像と思しい)。この印象が強烈だった。先にこの曲について、「大人っぽい世界」と形容したが、こと私にとってこの曲は、「『東京の大人』っぽい世界」の象徴のような曲だった。

HP限定ボーナス・トラック

第93回ボーナス・トラック:金八ポップス(K-POP)の世界!

第93回ボーナス・トラック:金八ポップス(K-POP)の世界!

2021年8月1日放送

第93回「オトナのためのジャニーズソング講座」のボーナス・トラックとして、昭和・平成・令和、3元号にわたるジャニーズ帝国の礎(いしずえ)=「たのきんトリオ」を世に知らしめるキッカケとなった、TBSドラマ『3年B組金八先生』(第1シリーズ)に関する音楽、通称「金八ポップス」=略称「K-POP」を取り上げてみたい(なお、この通称・略称は、いま私が勝手に作った俗称である)。

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