1992年から毎年、私は「個人的レコード大賞」を決めている。今回は「カセットテープ大賞」のボーナストラックとして、そのラインナップを紹介させていただく。
■YUKI『長い夢』
まずは「ゼロ年代」から。ちなみにこの賞は、シングル、アルバムいずれでもOKというルール。
2000年:慎吾ママ『慎吾ママのおはロック』
2001年:ピチカート・ファイヴ『さえらジャポン』(アルバム)
2002年:RIP SLYME『TOKYO CLASSIC』(アルバム)
2003年:クレイジーケンバンド『777』(アルバム)
2004年:大塚愛『さくらんぼ』
2005年:YUKI『長い夢』
2006年:Def tech 『Power in da Musiq ~Understanding』
2007年:くるり『ワルツを踊れ~Tanz Walzer』(アルバム)
2008年:木村カエラ『Jasper』
2009年:木村カエラ『Butterfly』
この中でのベスト=「ゼロ年代版・個人的レコード大賞」を決めるなら、2回ノミネートされた木村カエラを退け、05年のYUKI『長い夢』としたい。一説には亡くなった息子さんに捧げた曲とのこと。切実な歌詞と、YUKIの高音ボーカルも素晴らしいが、何といっても、蔦谷好位置による作・編曲が素晴らしすぎる。
長引く景気低迷、同時多発テロ、リーマンショックなど、もやっとした雲がこの国を覆ったディケイドの中で、そのもやっと厚ぼったい雲を突き破るかのように響いた1曲でもある。
■木村カエラ『Sun shower』
続いて「イチゼロ年代」。昨年までのリスト。なお、今年=2018年の大賞は、近く、東京スポーツ・木曜日の連載「オジサンのためのヒット曲講座」で発表予定。
2010年:ベッキー♪#『好きだから』
2011年:桑田佳祐『月光の聖者達~ミスター・ムーンライト』
2012年:木村カエラ『Sun shower』
2013年:大友良英『あまちゃんオープニングテーマ』
2014年:赤い公園『NOW ON AIR』
2015年:星野源『YELLOW DANCER』(アルバム)
2016年:宇多田ヒカル『道』
2017年:小沢健二『流動体について』
この中でのベストとしては、木村カエラ『Sun shower』を推す。個人的には、東日本大震災を経た、新しい日本への想いが込められた曲。また、この曲の真価はミュージックビデオ(MV)にある。おそらく「イチゼロ年代・個人的MV大賞」の選考においても、上位に入ってくるだろう。
当時、この曲に感動した私が、自分のサイトに書き付けたフレーズ―― 「木村カエラがこれからもずっと歌いつづけるならば、いつか世界から戦争はなくなるのではないか」。