ジャンル別番組一覧

ザ・カセットテープ・ミュージックメインビジュアルザ・カセットテープ・ミュージックメインビジュアル

2018年10月07日放送 第25回「吉田拓郎の歌詞が好き!」

第25回「吉田拓郎の歌詞が好き!」

「もっと声に出して読みたい歌詞特集」のボーナス・トラックとして、また番組の中では1曲もかかっていない最後の大物=吉田拓郎の歌詞に注目してみたいと思います。

 

■吉田拓郎『元気です』

  • 作詞:吉田拓郎
  • 作曲:吉田拓郎
  • 編曲:青山徹・大村雅朗
  • 1980年11月5日発売

当時の吉田拓郎としては珍しい、自身による作詞。吉田拓郎と矢沢永吉という、広島を代表する長身男前の音楽家は、作詞よりも作曲&歌の人ということ。宮崎美子が主演したTBS系ポーラテレビ小説『元気です!』の主題歌。

歌は4番まであって、それぞれ「春」「夏」「秋」「冬」と割り当てられているのだが、中でも最後を飾る「冬」がいい。四季を超えて「冬」に旅立っていくという設定で、次のような歌詞が歌われる。これは声を出して読みたくなる。

「私も今」「船出の時」だけど、「言葉を選んで渡すより」「元気ですよと答えよう」。

お涙ちょうだいのウェットなメッセージではなく「元気です」の一言でいいじゃないか。まさに。未だにお涙ちょうだいの湿った歌詞が多い、Jポップのお別れソングに対する1980年からのアンチテーゼだ。

最後に老婆心ながら。この『元気です』という曲は、吉田拓郎のアルバム『元気です。』には収録されていない。アルバム『元気です。』は、シングル『元気です』の8年前=72年に発売されたもので、シングル『元気です』とは無関係なので要注意(クイーンの『Sheer Heart Attack』と同じ構造)。


 

■吉田拓郎『ビートルズが教えてくれた』

  • 作詞:岡本おさみ
  • 作曲:吉田拓郎
  • 1973年6月1日発売

作詞は岡本おさみ。この人は、吉田拓郎が作曲し、1974年の日本レコード大賞に輝いた、森進一『襟裳岬』の作詞もした人で、言わば、70年代吉田拓郎の「田舎系歌詞」の担当。逆に「都会系歌詞」は喜多條忠(きたじょうまこと)ということになる。

この、アルバム『伽草子』(73年)の中の1曲は、当時の日本人によるビートルズ論として、非常に画期的だったと思う。

「ビートルズが教えてくれた」のは、「もっと陽気であっていいじゃないか」ということだったのではないか。この歌詞は、そう訴えている。

これは、当時の貧乏くさくて陰鬱な音楽家たちに対する、岡本おさみと吉田拓郎からの批判のようにも聴こえてくる。ビートルズは、(一見)陽気に快活にロックンロールを奏で、世界の若者を魅了したじゃないか。それに比べて、お前ら、何ウジウジやってるんだよと。

桑田佳祐はラジオで「吉田拓郎を聴いて、音楽で金を稼ぐって、すげぇいいなと思ったんです」と発言していた。日本にロックビジネスを確立させたのは、ビートルズと吉田拓郎と矢沢永吉だと思う。だから日本のリバプールは広島だ。


 

 

HP限定ボーナス・トラック

第93回ボーナス・トラック:金八ポップス(K-POP)の世界!

第93回ボーナス・トラック:金八ポップス(K-POP)の世界!

2021年8月1日放送

第93回「オトナのためのジャニーズソング講座」のボーナス・トラックとして、昭和・平成・令和、3元号にわたるジャニーズ帝国の礎(いしずえ)=「たのきんトリオ」を世に知らしめるキッカケとなった、TBSドラマ『3年B組金八先生』(第1シリーズ)に関する音楽、通称「金八ポップス」=略称「K-POP」を取り上げてみたい(なお、この通称・略称は、いま私が勝手に作った俗称である)。

お知らせ

音楽番組(演歌・歌謡)一覧へ戻る

ページTOP

視聴方法