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2017年10月13日放送 第3回「初期聖子のパワーボイスと大村雅朗編曲の魅力!」

第3回「初期聖子のパワーボイスと大村雅朗編曲の魅力!」

■【A面】松田聖子『チェリーブラッサム』

  • 作詞:三浦徳子
  • 作曲:財津和夫
  • 編曲:大村雅朗

1981年1月21日発売・シングル
この、松田聖子4枚目のシングルは、私が最も好きな彼女のシングルである。番組で取り上げた『青い珊瑚礁』も『ガラスの林檎』も、この曲には勝てない。

その魅力は、何といっても「聖子パワーボイス」の完成形であること。デビュー曲から叫び・吠える、高音のキーなのに低い倍音がぶんぶん唸る、松田聖子初期特有のパワーボイスに加え、デビュー時よりも、ピッチ(音程)の安定性が増してきた結果として、ここに「松田聖子のいちばんいい時代の声=聖子パワーボイス」が完成するのである。

もう1つ魅力を挙げるならば、三浦徳子による歌詞だ。つかみどころがない。タイトル「チェリーブラッサム」は歌詞に出てこない。「桜」すらも出てこない。そもそも、なぜ「チェリーブラッサム」と英語なんだという疑問。また「♪約束が叶うのは明日」の「約束」も内容も不明……でも、純粋で清潔な、1981年春の少女のトキメキが、びんびんと伝わってくる!

1981年の春――この曲に加え、3月には、大滝詠一の『A LONG VACATION』が発売、元日から始まった『ビートたけしのオールナイトニッポン』は人気を博し、プロレスではタイガーマスクがデビュー――それは「1980年代文化」の春でもあった。


■【B面】松田聖子『メディテーション』

  • 作詞:松本隆
  • 作曲:上田知華
  • 編曲:大村雅朗

1983年6月1日発売・アルバム『ユートピア』
初期松田聖子のアルバムで最高傑作を選べと言われたら、多少迷いつつも、83年の『ユートピア』を挙げる。

つまり『ユートピア』は、ビートルズで言えば『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』の位置とある。ということは『Sgt. Pepper’s~』ラストの傑作曲=『A Day In The Life』に代わるのが、『ユートピア』ラストの、この『メディテーション』ということになろう。

作詞も作曲も編曲も全部いい。「♪宇宙になりたい」と宗教的高みに達する松本隆の歌詞や、のちに今井美樹『PIECE OF MY WISH』(91年)を書き上げる上田知華のキュートなメロディもいいが、でも主役は、大村雅朗による、実にテクニカルな編曲だ(特にイントロから歌い出しに入るところのスリリングさ)。

大村雅朗とは、日本を代表する編曲家。私が思う大村の最高傑作は、渡辺美里『My Revolution』のあのアレンジ。松田聖子のプロジェクトも多く手がけ、ヒット曲『SWEET MEMORIES』では、作曲まで担当している。

最近、何となく「松田聖子の裏方の功績の全ては、松本隆によるものだ」的な論調が目立つが、いやいや。「松田聖子と言えば大村雅朗だ」というのもまた、真実なのだ。

というわけで、『ユートピア』こそが最高傑作。あっ文句は1点だけ――「裏ジャケットの聖子ちゃんの方が可愛い」。

 

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第93回ボーナス・トラック:金八ポップス(K-POP)の世界!

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2021年8月1日放送

第93回「オトナのためのジャニーズソング講座」のボーナス・トラックとして、昭和・平成・令和、3元号にわたるジャニーズ帝国の礎(いしずえ)=「たのきんトリオ」を世に知らしめるキッカケとなった、TBSドラマ『3年B組金八先生』(第1シリーズ)に関する音楽、通称「金八ポップス」=略称「K-POP」を取り上げてみたい(なお、この通称・略称は、いま私が勝手に作った俗称である)。

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