明日の郷子(佐良直美)の結婚式を祝って、八奈見家の夕飯には心がこめられた。だが、刑事の父秋(馬場のぼる)は悪質脱走犯のビル籠城という事件にぶつかり、帰宅できそうもなかった。一方、パリから父欣太郎(二代目尾上松緑)を迎えた世渡家は、長男政二郎(井上順)の結婚式を明日に控えて和やかだった。一夜明けて、いよいよ晴れの日、両家ではテレビのニュースを気にしていた。結婚式を日延べにするわけにもいかず、前世は秋のモーニングをもって式場に出かけた。事件現場に立ち寄り、事件が解決したら式場へ直行してくれるよう秋に伝言しようという前世の考えだった。だが、現場で人質の疲労が限界に達したと知った前世は、身代わり人質を申し出た。もう式場控室で花嫁衣装になっている郷子に、前世は電話を入れた。「時間がきたら、式をあげるのよ...なにもかも世渡さんにお願いして...」語りかける前世に、そばから秋が「郷子がふびんだ」とつぶやいていた。花婿の父・欣太郎が"花嫁の父"となり、郷子は手を取られて式場に入った。
おごそかに進む式の最中、集子(水前寺清子)はそっと席を立ち、タクシーを拾うと事件のある赤坂のビルへ向かった。犯人のビルと隣接したビルの窓から、集子は、そうだ犯人の注意をそらそう、と咄嗟に歌をうたいはじめた。姑の前世の身を案じての懸命の救出作戦だった。犯人は逮捕され、遅れて駆けつけた秋・前世は郷子の花嫁姿も一目見ることができた。あんな危ないことはいけないけれど、集子さんも八奈見の人になったのね...という前世の言葉に、集子は微笑んだ…。
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