第36話 天にも昇る心地！郷子と政二郎

朝早く、前世（山岡久乃）と集子（水前寺清子）が世渡の店に駆け込んできた。久松（波乃久里子）が、パリに行くのは政二郎（井上順）との結婚の下準備のため、といっているのを聞いたからだ。
と、そこへ染子（杉村春子）がやってきた。同じ件で事の真偽を確かめるためだ。驚いたのは母の郁子（葦原邦子）だ。政二郎に聞いてみると、久松と結婚するつもりがないのはもちろん、まだ結婚はしないとのこと。
その午後、郷子（佐良直美）は政二郎と久松を喫茶店に呼び出した。ハネムーンツアーに、女同士の久松と郁子が参加するのはやはりまずい、という詫びだった。政二郎との結婚計画をまくしたてる久松に、政二郎は初めて、はっきり結婚の意思がないことを告げた。誰か好きな人がいるのか、と久松に問い詰められた政二郎は、僕が好きなのは郷子さんだと、初めて口にした。思いがけない場で、政二郎の真意を確かめることのできた郷子は、失恋したと思い込んでいただけに、天にも昇るような幸せを感じた。ほんとうに結婚してくれるの？と郷子が聞けば、ぼくの方こそ夢じゃないの？と政二郎。挙式のプランは郷子が作ることになって、ふたりは別れた。暦をめくりながら、ロワールのお城で、ウエディングドレスで…と夢見心地の郷子に、前世（山岡久乃）は、なんですって！と絶句した…。