第35話 恋する弱味で勘違いばかり…

郷子（佐良直美）はこのところ政二郎（井上順）のことで頭がいっぱいだった。一刻も早く政二郎の意思を確かめてみなければと、郷子は呼び出しをかけた。政二郎とて同じ気持ちだったので、二人はあわただしくデートした。郷子も政二郎も、ストレートに自分の気持ちを語れなくて、“好きになりかけている人がいる”と、同じことをいった。
ところが、二人は、それは自分以外の人のことと受け取った。早くも郷子は、失恋したと前世（山岡久乃）に告白し、梅酒のやけ酒をあおった。前世はこの結婚に反対だったのも忘れて、女の子が失恋だなんてかわいそうだと、郷子に同情してくれた。
一方、集子（水前寺清子）は各一（荻島真一）が夏の背広を買うのだと、前世から五万円もボーナスの前借をしたのを、気にしていた。集子は、前夜夕食後に世渡の店を手伝うからアルバイトさせてと、政二郎に頼み込んだ。
そして政二郎は、芸者の久松（波乃久里子）

が申し込んだヨーロッパ・ハネムーンツアーを、はっきり断った。政二郎の代わりに母郁子（葦原邦子）を行かせることにしたのだ。郁子と久松の女同士の“ハネムーン”を、二人は不承不承納得してくれた。ただ久松は、花婿の親孝行をするのも花嫁修業のため、と勘違いしていた…。