
第32話
家出した唯一は、マーケットの近くの新掘荒物店にあがりこんだ。
家出した唯一は、マーケットの近くの新掘荒物店にあがりこんだ。
唯一は、肉屋の次女素子に気があったが、最近素子が「八百一」を手伝いだしたことから、素子が「八百一」の長男元気と一緒になるものと思い込み、悲観のあまり家出してしまった。
元気が歌と松永の結婚を愛と健二のものと思いこみ、愛は元気が「八百一」の店の手伝いをはじめた素子と結婚すると思いこんでしまった。
愛と育は、歌と松永の結婚準備を進め、結婚式を十二月十六日と決めた。そして結納をとりかわす手はずを終えた。
愛と歌の間にあったわだかまりは、愛が歌と松永の結婚を許したことで解決した。
魚を買いにきた元気が、愛を嫁さん下さいとたのんだ。元気の突然のプロポーズにびっくりした愛は急に怒り出した。
歌の家出騒動があってしばらくたった朝、仕入れに出かけた歌は、かねてから歌にプロポーズしていた健二に出逢い、愛を嫁さんにくださいと申し込まれた。
ある夜、歌は置き手紙を残して、どこかへ出かけてしまった。歌の手紙には、ひとりで考えごとがあるから温泉へ行ってくると書いてあった。
仕入れ先から帰ってきた愛は、歌と育がたのしそうに食事していたことにやきもちをやき、おぜんをひっくりかえしてしまった。
やきとり屋「三三九」で意見の違いから口ゲンカをはじめた愛と育は。「魚平」に戻って決着をつけることになった。
しばらくぶりに「魚平」にやってきて、歌に再婚話があることを知った愛の幼なじみの健二は、愛を外に連れだし、歌のしあわせを考えてやるべきだと愛にいいきかせた。
歌が松永のプロポーズをことわってしばらくした日に、元気の弟の明子と肉屋の長女の玉子の結婚式がおこなわれた。
酔って歩けなくなった愛を元気がおぶって帰った。歌はなに事かと驚いたが、愛は歌の顔もみたくないと寝てしまった。
愛は末絵の両親に末絵の山形行きの心境を聞いてもらったが、なかなかうまく話せなかった。そんなところへ末絵を送って帰ってきた元気が末絵の両親をいいふくめるように説得した。
歌を松永に奪われるという不安から、松永を極度に毛嫌いしていた愛は、突然やってきて歌の気持ちを確かめようとする育を、激しい口調で追い返した。
松永は歌に好意以上のものをもっているに違いない。愛はひとり気をもむが、歌はそんな松永の好意をむしろ嬉しがっている様子なので、愛は面白くなかった。
松永は、めずらしい蛍を歌にプレゼントするなどして好意を示した。だが愛は、そんな松永の好意と、それを喜んで受け入れる歌が、なんとなく面白くなかった。
名古屋で交通事故にあい入院していた唯一の父・七之輔が母の乙葉と帰ってくるというので、唯一は鯛を買って待ちうけた。ところが、帰ってきたのは乙美だけだった。またもや七之輔とケンカしたのだ。
乙美の頼みで歌が名古屋の七之輔の看病に向かった夜、愛の目の前で二人の男がにらみあった。元気と健二だった。
乙美と別居中の夫・七之輔が交通事故でケガをした。愛たちは乙美に名古屋行きをすすめたが、一度唯一にだまされている乙美は首を縦にふろうとはしなかった。
八百屋の長男・元気は愛が深川の魚屋・健二と付き合っていることが気になってならなかった。愛もまた、元気のことが気にかかり、健二のプロポーズを受け入れかねていた。
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