育の努力が実り、愛と元気は仲直りし、愛は改めて元気のプロポーズを受けた。愛にふられた健二だったが、ショックから意外に早く立ち直った。健二に新しい恋人ができたからだ。それは、荒物屋の長女・名津だった。(前週のあらすじ)。
健二と名津の話を冗談半分に聞いていた愛は、健二がその年上の女・名津に燃やす恋慕が並々ならぬものであることを知って、健二を励ますのだった。そんなとき、中央肉店では大騒動がもち上がっていた。明子が、昨夜、唯一の母・乙美にくらがりでおどかされ、そのショックで倒れてしまったのだ。ところが、不思議なことに、乙美は同時刻、家で寝ていて、一歩も外へ出なかったというのだ。
次にそのミステリーじみた事件に遭遇したのは、はやくも名津に愛の告白をして自信満々となった健二だった。その夜、乙美が薄気味悪い微笑を浮べて「魚平」に現われた……。