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決算発表は早くも終盤、業績の安定感が際立つ

2017年5月14日 【先週のTOPIX 業種別騰落率】

「決算発表は早くも終盤、業績の安定感が際立つ」

鈴木一之です。青森ではこの連休中に桜が満開となりました。それから1週間もたたない今週は、沖縄・奄美諸島が梅雨入りしたそうです。南北に長い日本の夏がすぐそこまで来ています。

株式市場は連休明けも堅調な動きを維持しています。TOPIXは4週連続の上昇となりました。上昇率は+2%に迫っており、上昇スピードが一段と増しています。

韓国の大統領選挙が終わったばかりの時期、北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射したり、世界規模でサイバー攻撃が猛威を振るったり、FBI長官の解任が尾を引く気配であったり、不穏な動きを抱えながら株式市場はしっかりした動きを取り戻しています。

TOPIX-17業種のうち、値上がりセクターは14業種に広がりました。値下がり業種は3つにとどまっています。値上がりの上位は「エネルギー資源」がトップで、次いで「情報通信・サービスその他」、「食品」、「小売」などの内需セクターがにぎわっています。

マイナスセクターのトップは「自動車・輸送機」。決算発表以上に米国の自動車販売の低迷が影響しています。続いて「鉄鋼・非鉄」と「不動産」。奇しくもその前の週の値上がりセクターの上位がそっくり下位に回り、前の週の下位セクターがそっくりそのまま値上がり上位に移りました。

これは一言で言えば「循環物色」です。決算発表のピークということもありますが、次々に人気業種や人気銘柄が入れ替わる、このような循環物色は、外国人投資家が日本株を買い進める時に見られる最も顕著な特徴です。

GPIFに代表される日本の機関投資家が株式の買い進める時には、マーケットは全面高になりやすいものです。

それと対照的に外国人投資家が買いの主役となる時は、そのような全面高にはなりません。上昇する業種間、銘柄間にウエートのばらつきが強まって、循環物色のような動きになりがちです。市場のムードは両者の間ではっきりと分かれます。

米国ではNASDAQやS&P500が史上最高値を更新しています。ドイツもDAX指数が史上最高となりました。総選挙を控えるイギリスもFT100が最高値に迫っています。

インドも史上最高値。台湾の加権指数を中心にアジア市場も堅調で、世界の株式市場が一様に活性化しています。その一環として日本株に対しても、外国人投資家の買い機運が高まっていると考えられます。

ただし金曜日の株式市場では、決算直後のトヨタ自動車(7203)とスバル(7270)が下落しました。メガバンクやファーストリテイリング(9983)、ファナック(6954)、ソフトバンクG(9984)、コマツ(6301)、三菱商事(8058)という、日経平均に影響しやすい主力銘柄も軒並み値下がりしています。

このあたりの銘柄はすでにたっぷりと保有しているのでしょうか。

代わって現在の物色の中核は、NTT(9432)、NTTデータ(9613)、花王(4452)、JT(2914)などの内需株です。もはやこの辺の銘柄を「内需株」とひとくくりにするのは難しいほどに、収益の中身はグローバル化しています。それでもエレクトロニクスや自動車とはやはり一線を画する銘柄です。

それ以上に、中堅どころのダイワボウHD(3107)、ニチレキ(5011)、日本ユニシス(8056)、マツキヨHD(3088)、システナ(2317)など、内需色がより明確な銘柄に上昇力が一段と強まっています。決算内容の良好な銘柄がストレートに上昇する色合いがはっきりと出ています。

現在の金融情勢や国際政治を見るにつけ、世の中は複雑さがますます強まっています。フランス大統領選の結果に世界が胸をなでおろしたのもつかの間、次から次へと息をつく間もないほど、簡単には解決策の見つからない難問が噴出してきます。

それだけに株式市場では、よりシンプルな考え方に立って、先行きの収益動向がきちんと見通すことのできる銘柄、信用のおける経営者に率いられているブレない企業、日々の生活に密着した身近な銘柄に、シンプルに投資資金が向かっている模様です。

複雑な世の中だからこそ複雑さを避けて、株式投資の原理・原則に立ち返って、シンプルなスタンスのマネーが優良企業を買っている、とも考えられます。そうであれば地道なファンダメンタル分析は、遠回りのようでいて、意外にも最短距離を歩いているのかもしれませんね。

以上





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