
7月29日
「トランプラリーが最初の試練を迎える」
鈴木一之です。「暑さ寒さも彼岸まで」、「節分天井、彼岸底」。お彼岸はひとつの時間の区切りです。
昼と夜の長さがちょうど同じになって、ここからは6月の夏至に向けて昼間の時間が長くなります。東京でも例年より早く桜の開花宣言が発せられました。ただ、そのわりにあまり暖かくなりません。
株式市場も簡単には「サクラサク」というわけには行かないようです。順調な値上がりを示していたNY市場が先週は大きく下落しました。トランプラリーに対する疑問符が浮上しています。
トランプ大統領が選挙期間中から真っ先に掲げていた「オバマケアの即刻停止」が暗礁に乗り上げています。議会共和党・保守派との調整が不首尾に終わり、代替法案の撤回が伝えられました。
ここまで強気で鳴らしてきたトランプ大統領も、ロビイストなど魑魅魍魎(ちみもうりょう、自分では漢字は書けません)が跋扈(ばっこ、これも書けません)する議会との折衝は、そう簡単には行かないだろうとは見られていました。
しかし交渉が始まったとたんに足踏みを余儀なくされるとは。この段階でつまづくようだと、目玉政策である「驚くほどの減税策」や1兆ドルものインフラ投資など、相当な難航が予想されるというのが素人目にも明らかです。
これを受けて世界のマーケットには、リスクオフ的なムードが急速に漂っています。というのがマーケットニュース的な評論なのですが、実はその前から原油価格の下落は始まっていました。先週のNYダウの急落は、後から遅れてやってきたと見ることも十分可能です。NASDAQはしっかりしています。
先週の東京株式市場は、TOPIXが2週続けて下落しました。前の週のFRBの利上げに続いて、先週はトランプラリー開始以来、最大の下げにNY市場と東京市場が遭遇しました。
TOPIX-17業種のセクター別では、値上がりが2業種、値下がりが15業種となりました。値上がり上位には、「電力・ガス」、「食品」が登場し、下落の小さなセクターにも「医薬品」、「小売」というディフェンシブ的なセクターが登場しました。
一方で値下がりセクターには、「金融(除く銀行)」、「銀行」の金融セクターと、「鉄鋼・非鉄」、「自動車・輸送機」、「機械」などの景気敏感セクターが勢ぞろいしました。
金融セクターでは、メガバンクと地銀株が軒並み大幅安となっています。トランプ大統領が主張していた「ドッド・フランク法」による規制撤廃がむずかしいとの見方から、米国で銀行セクターが大きく値下がりしており、その影響が日本にも及んでいます。
同じように、昨年11〜12月の「トランプラリー第1波」で活躍した業種、「機械」と「鉄鋼・非鉄」が同じように下落しました。特に鉄鋼株と非鉄株の値下がりが顕著です。
これらの景気敏感株は、原油市況の下落に連動してその前の週から下落に転じていました。「トランプラリーの巻き戻し」を先取りするかのような展開が先に示されていたようにも見えます。
値下がりが目立った機械セクターでも、不思議とコマツ(6301)や日立建機(6305)などはさほどひどい下落には至ってません。それはファナック(6954)、キーエンス(6861)、ソニー(6758)、キヤノン(7751)のエレクトロニクス株でも同様です。
どうやら問題は2つあって、トランプラリーの行く末もそうですが、それとともに先行して下落していた原油市況にも要因はあるのではないかと思います。3月7日ごろから始まった原油の軟調な値動きは、鉄鋼株や総合商社の一角が連動して下げています。
トランプラリーの先行きに関しても、現時点では米国株の下落は部分的なものにとどまっています。金融株の下げが目立つ一方で、マクドナルド、ディズニー、マイクロソフト、アップル、シスコ、ホームデポ、P&G、3Mあたりはしっかりした状況です。ここでも各企業の動きが重要です。
そして日本株。上昇基調を強めているディフェンシブ的なセクターです。中でも食品株は先週は特に強い動きを見せました。伊藤園(2593)、ハウス食品(2810)、エバラ食品工業(2819)、フジッコ(2908)など、「家ナカ消費」、「中食市場」と言われるジャンルの企業が実に堅調な値動きを示しています。
それはサッポロHD(2501)、アサヒグループHD(2502)、キリンHD(2503)のビール3社の堅調さにも表れています。外食産業を中心に小売セクターは堅調さを維持しており、ここに食品や医薬品が加わって、物色動向はますます内需優勢の展開にシフトしています。
東証では先週はIPOラッシュが始まりましたが、新興市場はしっかりした動きを取り戻しました。東証マザーズ指数は早くも反発し、バリュー株に対してグロース株は下げが小幅にとどまっています。
「第4次産業革命」の大波に乗った小型成長株の物色人気が早くも復活するような雲行きです。米国のトランプラリーを支えたのは「ブリック&モルタル」と呼ばれる旧態依然たる業種でした。そこから徐々に、NASDAQに代表されるIT企業に物色が移ってくるような気配が見られます。主役の移行はこのような断層が生じる時に進みやすいものです。
会社四季報の最新号が発売されて1週間。じっくり紙面を眺めていると、本当にくっきりはっきりと上場企業の在り方が変わってきた様子が浮かび上がります。
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そこで今回のテクノロジー革命には、みんなこぞって相乗りしようとしています。ここで乗らないと取り返しがつかないことを、企業サイドは過去20年間の経験で骨身にしみてわかっているのです。
日本経済は企業サイドから大きく変わり始めています。ESG投資、働き方改革、生産性革命、積み上がった内部留保の活用、がそれを後押しします。その点に関しては日々、確信を深めつつあります。
以上
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