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2016年8月21日 【先週のTOPIX 業種別騰落率】

「円高、資源高、景気敏感株の上昇続く」

熊本、大分で発生した地震により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

鈴木一之です。リオ五輪をテレビ観戦していて、これが4年後の東京ではどのようなことになるのだろうと何を見てもそう思います。観客席は人で埋め尽くされ、実業界ではたいへんなビジネスチャンスに手ぐすねを引いていることでしょう。

しかし東京五輪は大会期間中の2週間だけではなく、今から4年間ですからね。祝祭が終わる時の寂しさというか、虚脱感もそれだけ大きなものなのだろうかと、今から不安になってしまいます。

先週の株式市場は反落しました。7月末の日銀・金融政策決定会合からこちら、円高・ドル安がゆっくりと進んでおり、それに伴って世界中のマーケットが変化しています。

最も明らかな変化はドル安と資源高が進んでいることです。それらを反映した新興国経済の回復と新興国の株価上昇。日本のマーケットもこれらの動きがストレートに反映された形となりました。

TOPIXは反落しました。1週おきに上昇と下落を繰り返しています。業種別では、TOPIX-17業種のうち上昇が4業種、下落が13業種となりました。

物色のホコ先があまりにもはっきりと「世界景気の先行き回復」にシフトしています。値上がりセクターは「エネルギー資源」、「鉄鋼・非鉄」、「機械」、「電機・精密」です。「銀行」と「自動車・輸送機」も堅調でした。

半導体関連株が買われ続けており、SUMCO(3436)、東京応化工業(4186)、トクヤマ(4043)が大きく値上がりしています。

自動車向けの新素材の高まりで、アルミのUACJ(5741)、炭素繊維の東レ(3402)、鉄鋼の新日鉄住金(5401)が上昇しました。

そしてエネルギーの国際石油開発帝石(1605)や三菱商事(8058)、三井物産(8031)の上昇です。「世界景気連動株」としての信越化学(4063)やコマツ(6301)も高値をうかがう展開となってきました。

物色の動向がこうまではっきりと「世界経済は回復期に入っている」という方向を示している割に、世の中の目線はそちらを向いてはいません。引き続き中国の過剰生産能力問題を懸念し、欧州の銀行問題を論じ、米国の大統領選挙の行方を注視しています。

景気敏感株の急上昇とは反対波動で、日本の内需セクターは急落する銘柄が相次いでいます。特にディフェンシブ的な銘柄にそれが集中しており、ツクイ(2398)、アリアケジャパン(2815)、参天製薬(4536)、リログループ(8876)、福島工業(6420)などが一様に下げました。

電鉄株、食品株、建設株の下げはとりわけ象徴的です。いずれも業績は史上最高益を更新する企業がかなりの頻度で見つけられるのに、しかし株価は下落するというステージになっています。7月8日の米国・6月雇用統計の発表以来、世界のマーケットは完全に「ファクターが変わった」と言う状況です。

その中で興味深いのはマザーズ市場の動きです。マザーズ指数にはさほど変化は見られませんが、個々の銘柄では高値を更新するもの、高値圏に迫るもの、それぞれに次なる動きが始まっています。

これらのマザーズ上場企業は、決算内容がよいのにしばらくは見向きもされませんでした。そこに新たな動きが始まっています。「振り出しに戻った」というニュアンスも少しは感じられ、天高く馬肥ゆる秋相場のひとつの焦点になるのではないかと感じました。

景気敏感株の上昇、内需ディフェンシブ株の下落、新興市場の小型株の復調の兆しなど、要するに市場の関心は日銀のETF買いばかりにとどまってはいない、ということですね。

以上





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