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NY市場は史上最高値を更新中、北朝鮮リスクにも耐性を備える

2017年9月17日 【先週のTOPIX 業種別騰落率】

「NY市場は史上最高値を更新中、北朝鮮リスクにも耐性を備える」


鈴木一之です。台風が日本列島をゆっくりと北上する週末。いかがお過ごしでしょうか。カラ梅雨を嘆いていた6月ごろが信じられないほどに、今年は雨ばかり降っているような気がいたします。

雨の日は無理に外出せずに、家の中で読書に励むのにもってこいではありますが、しかしそれでは流通・小売業界にはたまったものではありません。


先週の東京株式市場では、TOPIXが反発しました。一週ごとに上下動を繰り返すようになっています。

米国へのハリケーン襲来、北朝鮮のミサイル発射リスクというものにNY市場は少しもひるんでおりません。NYダウは波乱続きの週初から週末まで、連日のように史上最高値を更新し続けています。


北朝鮮のミサイル発射で「Jアラート」が鳴り響いた9月15日(金)も、日本の株価はさほどネガティブな影響を受けませんでした。

これをミサイル慣れしてきたととらえるのではなく、NY市場の堅調さにあらためて世界経済とマーケットが支えられているのだ、と感じます。


以前、大和証券の壁谷洋和さんが、米国出張から帰国されてすぐにご出演いただいた時、「トランプ大統領がどんな発言をしようと何をやらかそうと、米国の企業経営者は誰もが、米国経済の先行きに対して非常に強気で見ている。」と話していらしたことを思い出します。


セクター別では、TOPIX-17業種の大半が上昇し、値下がりした業種は「電力・ガス」ひとつだけでした。

その中で値上がりの大きかったセクターが、「電機・精密」、「機械」、「自動車・輸送機」です。いずれも製造業、加工組立業の中核で、輸出関連株でもあります。


日本電産(6594)が週初から値を飛ばし、そこに日立(6501)、パナソニック(6752)、キーエンス(6861)が加わっています。オムロン(6645)、IDEC(6652)のFA関連銘柄も買い人気を維持しています。

同じく自動車でもトヨタ(7203)、日産(7201)、ホンダ(7267)がそろって堅調さを取り戻しました。電気自動車関連銘柄のフィーバーが先週も各方面で見られました。


その流れが顕著なのが化学セクターです。旭化成(3407)、住友化学(4005)、三井化学(4183)、三菱ケミカルHD(4188)の業界大手が軒並み高値を更新しており、マーケットに起こっている地合いの変化をはっきりと印象づけています。


全世界が注目する中で、先週はアップルが新型の「iPhone X」を発表しました。ここ数年、単なるモデルチェンジで新鮮味がないと言われてきましたが、栄枯盛衰の激しいデジタルガジェットの世界で、10年間も世界の頂点に君臨し続けていることの方が驚きです。


アップルの株価は先行して上昇していただけに、先週はさほど大きな反応はありませんでした。むしろNYダウ構成銘柄の中では、ここに来てマイクロソフト、インテル、ビザ、アメックス、GSなどの出遅れ銘柄の上昇が顕著です。メルクやファイザーなど薬品株も動きがよくなってきました。


「出遅れ銘柄が買われる」という現象は、株式投資の世界ではあまり好ましいことではありません。それでもキャタピラーも高値を更新しており、それが日本のコマツ(6301)や三菱商事(8058)の株価を刺激しています。


ロシアも利下げを実施し、インフレのないままに世界景気が拡大を続けています。中国もガソリン車を禁止する見通しの模様です。まったく新しい設計思想の自動車が世界中で組み立てられようとしており、そこに省力化、ロボット化、生産性の向上を目指した設備投資ラッシュが重なります。


先進国のみならず新興国にまで、製造業とサービス業の設備投資が広がっています。今の世界経済の景気拡大はかつてのように機関車役となる国や主体が見えにくいのですが、本当のリード役は世界中で広がるロボット、自動化投資ではないでしょうか。

そうだとすると現在のような「B2B」銘柄の上昇はまだしばらくは続くものと見られます。設備投資の潮流にいったん火がつくと、そう簡単には消えないからです。


半導体マスクブランクスの試験装置メーカーであるレーザーテック(6920)が毎日のように上場来高値を更新しています。鎌田伸一さんによれば、守秘義務から社名を明かすことはできないけれど、巨大な取引先企業から大きな受注が入ったとのことです。受注残は前年比6割増、と先日のインタビューで紹介されていました。


それとは別に、先週は台湾のホンハイ精密工業が中国の南京で6300億円の設備投資を行うことが伝えられました。東芝メモリの買収合戦にはアップルも参加することになりそうです。

最先端テクノロジーを巡って日々新しい動きが報じられています。世界の株価はこれまで慎重の上にも慎重なスタンスで、おっかなびっくり高値を取ってきましたが、少しずつマーケットの性質が変わってゆきそうな雲行きです。

北朝鮮問題の存在は、設備投資のようなバブルにつながりやすい要素に浮かれるな、とマーケットに対してむしろ冷水を浴びせかける役割を果たしているようにすら思えてきます。


福岡ソフトバンクホークスが史上最速でリーグ優勝を果たしました。広島東洋カープもあと1勝で、米国大リーグも佳境を迎えています。大相撲・秋場所がけが人続出でまったくさえない分、ここから1か月は野球観戦に力が入りそうです。ふみとどまれ、横浜DeNAベイスターズ!

以上





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