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2017年02月05日

2月5日

「2月相場スタート、トランプラリーはどこへ行くのか」

鈴木一之です。厳しい寒さが続いていますが、空や雲には少しずつ春の気配が感じられます。立春から啓蟄に至るこの季節、私は1年でこの時期が最も好きです。日が伸びて水仙と梅の花が咲く「寒いけど春!」というこの季節。

トランプ政権の繰り出す驚愕の政策に対して、世界は徐々に耐性をつけつつあるようです。来日したマティス国防長官はきわめて紳士的で、日米同盟の基礎は揺るがず存続することが確認されました。ティラーソン国務長官にも議会の承認が下りました。

国境で足止めされる人々は断腸の思いでしょうが、円安誘導を非難された為替市場はさほど動揺せず、株価は好調な企業業績に支えられてしっかりしています。問題は日本の長期金利の行方です。

今週は前半が通貨問題に言及したトランプ・リスクで揺さぶられました。それが週後半になると、今度は長期金利がマーケットの重石となりました。今週末に予定される日米首脳会談を前に、日銀の金融調節が市場の注目の的となっています。

果たして日銀は「金利釘づけ(固定)政策」を取り続けることが可能なのでしょうか。先週の金融政策決定会合はほぼ無風で終わったものの、そういう時に限って何かしらの市場の変化、政策的な変化が表面化してくるものです。

先週の東京株式市場は、TOPIXが反落しました。昨年12月の米国の利上げ以降、1~2週ごとにプラスとマイナスが交互に現れており、不安定な感は拭えません。トランプリスクは間違いなく存在しています。

セクター別では、TOPIX-17業種のうち2業種のみプラス。15業種がマイナスでした。プラスを維持したセクターは「医薬品」と「食品」のみ。ディフェンシブ的なセクターです。

反対に値下がりしたセクターは、「電力・ガス」の大幅続落を筆頭に、「運輸・物流」、「自動車・輸送機」、「不動産」がいずれも4週連続で下落しています。

プラスをキープした「医薬品」と「食品」は、言わばディフェンシブ的なセクターですが、必ずしもディフェンシブ感覚では買われているわけではないようです。決算発表がピークを迎え、同一業種の中でも決算のよかった銘柄と悪かった銘柄の株価の動きが極端なまでに分かれています。

たとえば食品株では、ヤクルト本社(2267)、プリマハム(2281)、かどや製油(2612)、中部飼料(2053)、フィード・ワン(2060)など、決算のよかったものが盛んに物色されています。いずれも「販売好調+円高メリット」の銘柄です。ただし食品株でもそれ以外の銘柄にはさほど動きは見られません。

同じように薬品セクターも、塩野義(4507)、中外製薬(4519)、ロート製薬(4527)などが大幅高となっており、それ以外の薬品株はほとんど無風状態に置かれています。

それは下落セクターでも見られます。化学株では住友化学(4005)、トクヤマ(4043)、保土谷化学(4112)、花王(4452)、ライオン(4912)などは目をみはるほどの上昇を見せますが、そうでない化学株はそろって一服、ないしは下落という状況です。あくまで個別銘柄ごとの動きのようです。

その一方で、セクター全体が丸ごと売られるという状況も目につき始めました。代表格は「不動産」セクターです。

日本の長期金利は昨年1月のマイナス金利政策の導入後で、最も高いレベルを超えてきました。もはや誰の目にも金利の上昇傾向が明らかとなっています。

価格高騰の著しい新築マンションの売れ行きはどうやら行き詰まっており、相続税対策としての「タワーマンション」ブームにも規制の網がかけられつつあります。アパート建設はラッシュのような新築ブームが続いていますが、はっきりと供給過剰感が生じています。

そこに長期金利の上昇が追い打ちをかけています。住宅ローン金利は昨年暮れから上昇しています(2月は下がりました)。

不動産とともに銀行株や電鉄株もそろって下落しました。金利敏感セクターが総じて下落したのが先週のマーケットの大きな特徴です。全体として企業業績は好調ですが、それもマーケットでは新鮮な驚きにはつながらなくなっています。

中国の景気回復によって輸出主導型の景気回復が始まっていますが、ここからさらに景気が上向きになるかと問われると、少し慎重にならざるを得ません。

NY市場では1月雇用統計が好調で賃金の伸びも抑えられたために、週明け月曜日の東京市場はプラス方向で始まりそうです。ただしその後は少しばかり調整色が強まるイメージでしょうか。

「電機・精密」や「機械」、「情報通信・サービス」、それにマザーズ、ジャスダックの動きを個々に追いかけてみたい週となりそうです。

それにしてもトランプ大統領は例によって世界を攪乱させていますが、イスラム圏7か国の人々に入国を認めないという方針は、テレビ画面に流れる大群衆の抗議デモの映像とは裏腹に、米国の世論調査では反対よりも賛成の方が多いそうですね。これは意外でした。

アメリカは本当に世界の盟主、覇権国の地位を降りるつもりでしょうか。「世界の警官たるアメリカ民主主義の手前勝手、ワシントンを徘徊する議会という名の吸血鬼。」と表現したのは高村薫でした(「リヴィエラを撃て」)。

以上






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