ザ・カセットテープ・ミュージック

スージー鈴木のボーナス・トラック

2018年07月06日放送

第19回「スージー鈴木の個人的 ワンヒット・エターナル」

■The東南西北『内心、Thank You』

  • 作詞:松本隆
  • 作曲:久保田洋司
  • 編曲:戸田誠司
  • 1986年4月2日

特集「ワンヒットワンダー」のボーナス・トラックは「スージー鈴木の個人的『ワンヒット・エターナル』」と題して、私にとっての「一発屋」ならぬ「一発屋だけど永遠に忘れられない曲」をお届けしたい。

まずこの曲は、私にとって発売日が奇跡である。「1986年4月2日」。大阪から上京、東京の大学生として「人生の第2楽章」が始まる、まさにそのときの発売。言わば「人生の第2楽章の1小節目」のような曲。

その下宿には、しばらくテレビが無かったので、大阪から持ち込んだラジカセから流れるラジオを真剣に聴く。この曲、元々妙なエフェクトがかかった音なのだが、それがラジカセの貧弱なスピーカーでさらに増幅されて、ペラッペラの音になる。しかしそれが奏功。そのペラッペラな音が、少年の繊細な気分が込められた歌詞の味わいを更に高めるのだ。

結局、この曲を超えるヒットを出せずに解散してしまうのだが(最近再結成したという)、ボーカルの久保田洋司が持つソングライターとしての才能は魅力的で、松田聖子に提供した『マリオネットの涙』という曲はいい曲だった。

ちなみに、The東南西北の所属事務所はアミューズだった。最近、アミューズ所属のflumpoolというバンドがいるが(こちらは最近、活動休止中)、彼らを見ていると「あぁ『平成のThe東南西北』だなぁ」と思ってしまう。そんな人が、今の日本に、おおよそ100人くらいはいると思う。






■金井夕子『パステル・ラヴ』

  • 作詞:尾崎亜美
  • 作曲:尾崎亜美
  • 編曲:船山基紀
  • 1978年6月20日

泣く子も黙るNTV系『スター誕生』出身である。ということは、ピチピチのアイドルで、阿久悠作詞で、審査員の面々の誰か(都倉俊一など)が作曲した曲でデビューするのが、筋だったはずである。

しかしこの曲の作詞・作曲は、当寺新進気鋭の尾崎亜美。そして、お世辞にもアイドルとはいい難い金井夕子の外見。つまり金井は「『スター誕生』から出てきたアンチ『スター誕生』」だったのだ。

尾崎亜美は、前年に資生堂のCMソングとなった『マイピュアレディ』がヒット。その独創的な歌詞とメロディで「ポスト・ユーミン」の最前線に立つこととなったタイミング。そんな尾崎に曲を託すのだから、『スター誕生』スタッフも度量が広い。

ただ、引いてみてみると、1978年というタイミングは、アリスやゴダイゴなど、いわゆる「ニューミュージック」勢が台頭してきた年でもある。当時すでに、歌謡曲勢の代表となっていた『スター誕生』としては、新勢力を、自らの軍勢に取り込む狙いもあったのだろう。

と、そんな分析的なことは、ちっとも考えず、この曲を「なんかおしゃれやな」と思いながら愛聴していたのは、小6の私である。で、そこから再度、時制を今に戻すと、そのおしゃれ感のミソは、曲内で何度も出てくる「尾崎亜美コード」=「B7-9」(キーはE)にあることが分かる。






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