ザ・カセットテープ・ミュージック

スージー鈴木のボーナス・トラック

2018年06月08日放送

第18回「サザンオールスターズのメッセージソングを聴こう!」

■サザンオールスターズ『NUDE MAN』

  • 作詞:桑田佳祐
  • 作曲:桑田佳祐
  • 編曲:サザンオールスターズ
  • アルバム『NUDE MAN』より
  • 1982年7月21日

アルバム『NUDE MAN』のタイトルチューンである。しかし、「タイトルチューン」という堂々たる響きとは対照的に、殆ど語られることのない曲でもある。

公式サイトにも『ただの歌詩じゃねえかこんなもん』(新潮文庫)にも歌詞は載っていない。そこで歌詞を聴き取って見ると、「♪でっかいグレイのエアプレイン 世話すれば金もらう 偉い方々みんな 癒着ちゃのハラハラ」と歌っているようだ。

これ、歌われているのは「ロッキード事件」のことだと思われる。1976年2月に発覚した、アメリカ合衆国の航空機メーカー,ロッキードの日本への航空機売り込みにからむ大規模疑獄事件。

こういう曲が、松下電器のヘッドフォンステレオのCMソングに使われていたのだから、何とも平和な時代だ。

ちなみに「ロッキード事件」を揶揄する曲としては、細野晴臣『Black Peanuts』もある。音楽家が歌詞のテーマとして、こういう社会的事件を、あっけらかんと取り上げていた時代。今「森友加計問題」を取り上げる音楽家はいるのだろうか。「社会を語るのは音楽家のやることじゃない」とかの言い草は、単なる逃げ口上になってはいないだろうか。




■桑田佳祐『ROCK AND ROLL HERO』

  • 作詞:桑田佳祐
  • 英語補作詞:Tommy Snyder
  • 作曲:桑田佳祐
  • 編曲:桑田佳祐 & THE BALDING COMPANY
  • 管編曲:山本拓夫
  • アルバム『ROCK AND ROLL HERO』
  • 2002年9月26日

少しルールを逸脱して、00年代の桑田佳祐ソロから取り上げる。こちらもアルバム『ROCK AND ROLL HERO』のタイトルチューンで、またコカ・コーラのCMタイアップが付いていた。

異常にポップなメロディと、日本語・英語のチャンポンが激しいので気付きにくいが、アメリカに追従する日本を、相当強烈に批判している曲である(なのにコカ・コーラのCMタイアップという痛快さ!)。

ここで思い出すのは、2014年のNHK『紅白歌合戦』における「炎上事件」である。そのとき歌った曲=『ピースとハイライト』の歌詞が、政権を批判しているような内容だということが、「炎上」の理由の1つに挙げられていた。

そのとき思ったのが、世間は『NUDE MAN』や『ROCK AND ROLL HERO』をまともに聴いちゃいなかったんだなということ。逆に私などは、そういう曲を好んで聴いていたものだから、『ピースとハイライト』など、想定の範囲内に感じていたのだが。

ただ、逆に言うと、桑田佳祐によるメッセージソングは、過度なチャンポン歌詞や過度に歪めた発音で、メッセージが直接的に響かないよう、丁寧に煙幕を張っている。この方法論が有効かどうかは意見が分かれるところだろう。忌野清志郎も好んで聴いてきた私などからすれば、もっとストレートに歌ってもいいのにとも思ってしまう。

なぜなら他の誰でもない、あの桑田佳祐なのだ。怖いものなどなかろう。






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