ザ・カセットテープ・ミュージック

スージー鈴木のボーナス・トラック

2018年03月02日放送

第11回「1986年春の資生堂・カネボウ対決!」

■岡田有希子『くちびるNetwork』

  • 1986年1月29日発売
  • 作詞:Seiko
  • 作曲:坂本龍一
  • 編曲:かしぶち哲郎

カネボウ「プロ感度BIOカラーネットワーク」CMソング。CMのモデルは沢口靖子。岡田有希子唯一のナンバー1シングルであり、そしてラストシングルである。

「岡田有希子に何としても1位を取らせたい!」というスタッフの意気込みが伝わってくるのは、その作家陣である。「作詞:松田聖子、作曲:坂本龍一」。86年当時において、これほど話題性のあるタッグは無かっただろう。

しかし、そんなタッグによって作られた曲を歌う岡田有希子の声には、正直、エネルギーや覇気が感じられない。そもそも、彼女の芸能活動全体に、本人が心から好んでやっているというより、真面目に「お勤め」をしているというイメージがあった。

そんな、実直な優等生な感じと、抑揚のあるプロポーションの対比に惹かれて、私は当時、野村誠一が撮影した、彼女の写真集を買ったものだが。

この曲の発売が1月29日。四谷四丁目サンミュージックの屋上から身を投げたのが4月8日。引き算をすると69日。豪華な作家陣によるナンバー1ヒットに彩られた、岡田有希子のたった69日の、短い短い最後の春である。


■中山美穂『色・ホワイトブレンド』

  • 1986年2月5日発売
  • 作詞:竹内まりや
  • 作曲:竹内まりや
  • 編曲:清水信之

資生堂口紅「インテグレート」CMソング。モデルは中山美穂本人。

上の岡田有希子『くちびるNetwork』は、オリコンナンバー1を獲得したものの、売上枚数は23.1万枚。こちらは、オリコン最高5位だったが売上枚数22.3万枚なので、ほぼ肩を並べている。加えて、中山美穂自身がモデルにも選ばれたということで、当時中山が、アイドル界から一歩抜け出した印象を受けた。

こちらの作家は竹内まりや。番組でも取り上げたように、この6年前(1980年)の資生堂春キャンペーン『不思議なピーチパイ』で、竹内自身も知名度を上げており、一種の恩返しのような気分があったのだろう。

そのせいか、『不思議なピーチパイ』に、とてもよく似たリズムや音作りとなっている。さすがにボーカルについては格段の差があるが、中山美穂のその後の歌手活動を通底する「妖気」のようなものが、すでに備わっている。驚くべきことに、この当時中山は、まだ15歳だったのだが。

中山美穂のオリコン1位への道のりは長く、この後、松本隆作詞のシングル6曲を経て、角松敏生と出会った87年10月の『CATCH ME』まで待たなければならない。

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