ザ・カセットテープ・ミュージック

スージー鈴木のボーナス・トラック

2018年02月09日放送

第10回「YMOの曲の間を彩った爆笑コント対決!」

■スネークマンショー/コント「林家万平」

  • アルバム『増殖』
  • 1980年6月5日

今回の「ボーナス・トラック」は、YMOのアルバムの曲間に収められた、コント音源を取り上げたい。本当は番組内でも流したかったのだが、権利関係が難しく、断念したのだ。

いちばん流したかったのは、アルバム『増殖』に収められた、スネークマンショー「林家万平」(「ハヤチヤマンペイ」と発音される)のコントである。スネークマンショーとは、桑原茂一、小林克也、伊武雅刀という異能集団。彼らによるシュールでシニカルな音声コントが、『増殖』には何と5本も入っている。

先代の林家三平(現三平の父)の中国公演という設定。日本語でダジャレを言うも、中国人には当然意味が分からない。シーンと静まり返るも、中国人のヒソヒソ話が始まり(「これは笑うところか?」「とりあえず笑ってみるか」と話している感じ)、そして最後は大爆笑になるというもの。スネークマンショーのコントの中では、かなりベタな部類である。

ただ、彼ららしいシニカルな視点も入っていて、深読みすれば、当時特に盛んだった「日本と中国の文化交流」が、いかに難しいか・ナンセンスかを、訴えているようにも聴こえてくるのだ(続く)。


■スーパー・エキセントリック・シアター/コント「銀行への脅迫電話」

  • アルバム『サーヴィス』
  • 1983年12月14日

しかし、番組内でも強調したのだが、アルバム『サーヴィス』に収録された、三宅裕司率いる劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)のコントは、さらに素晴らしく、その割には、スネークマンショーほど語られていないのが残念だと思うのだ。

このコントは、銀行に犯人(三宅裕司)から脅迫電話がかかってくる設定。銀行員(小倉久寛)は、犯人の奇妙な無理難題に応える。その最後の難題が、「印鑑を鼻につめて、童謡『村祭り』を歌え」というもので、銀行員が『村祭り』を、鼻声で朗々と歌うのだが、その馬鹿馬鹿しさたるや。

告白すれば、私は当時、このコントに笑いすぎて失禁した記憶がある。それくらい優秀な笑いなのだが、いかんせん、スネークマンショーに比べて、「文化的・東京的な記号性」が弱い。そのため、低く見積もられていると思うのだ。

いとうせいこうらのラジカル・ガジベリビンバ・システムやダウンタウンが当時、三宅裕司のベタさを批判していたと記憶する。それでも三宅裕司は生き残り、独特の軽妙な味わいで笑いを取り続けている。

「スネークマンショーよりSET」「三宅裕司・ザ・グレイテスト」。この感覚を共有できるYMOファンがとても少ないことを自覚しながら、この場であえて書いている。



 >今回の放送内容はこちら 


  • facebook
  • twitter