ザ・カセットテープ・ミュージック

スージー鈴木のボーナス・トラック

2018年01月12日放送

第8回「ダンスの視点から選んだ、チェッカーズの2曲!」

■チェッカーズ『涙のリクエスト』

  • 作詞:売野雅勇
  • 作・編曲:芹澤廣明
  • 1984年1月21日

この曲を、番組での選曲から外した理由は、音楽的な面白みの少なさからなのだが、それでも、シンプルな循環コードはキャッチーだし、また、拙著『1984年の歌謡曲』(イースト新書)で「無国籍オールディーズ」と命名した、売野雅勇による独特な歌詞の世界も、とても魅力的である。

さて、今回、この曲で注目したいのは振り付けである。この曲のサビで、フロントマンの3人(郁弥+鶴久政治+高杢禎彦)が、右腕をくるくる回す、あの振り付け。

振り付け=曲に合わせた定形のダンスを踊るバンドが、最近めっきりと減った。理由は分からないでもないが、だからこそ動画サイトで、この曲を歌い踊るチェッカーズを見て、異常なキュートさを感じてしまうのだ。

チェッカーズと同じく7人組のザ・スパイダースも、振り付けのある曲が多かった。先日動画サイトで、『デイ・トリッパー』を歌うかまやつひろしの後ろで、堺正章と井上順が大胆に飛び跳ねる振り付けで踊るのを見て、あまりにキュート過ぎて、失神しそうになった。

日本のロックバンドは、振り付けとともに、キュートさも失ってしまったのではないか。可愛くなければロックンロールじゃないのだ。


■チェッカーズ『ONE NIGHT GIGOLO』

  • 作詞:藤井郁弥
  • 作曲:武内享
  • 編曲:THE CHECKERS FAM.
  • 1988年3月21日

1986年のシングル『NANA』以降、売野雅勇・芹澤廣明の手を離れ、自作自演するチェッカーズを、当時の私は、少しばかり苦々しく思っていた。

革ジャンスタイルに身を包み、歌詞も「無国籍オールディーズ」から「西麻布コンテンポラリー」とも言うべき大人っぽい世界に路線変更。

それでもそこから、1992年紅白歌合戦での解散に向けて、意外に人気が長続きしたのは、1つにはメンバーの作詞・作曲能力が高かったこと(特に鶴久政治の作曲)、そしてもう1つは、メンバーのダンスの力が大きかったのではないかと思っている。

この曲といえば、フジテレビ系『とんねるずのみなさんのおかげです』の学園コントである。コントの途中、藤井尚之が突然、サックスでこの曲のイントロを吹く。そして木梨憲武が、イントロの例の振り付けを真似てから歌い出した瞬間、石橋貴明に殴られるというお約束。

『NANA』以降、振り付けはラフになったが、それでも、鶴久政治と高杢禎彦を中心に、ある程度統一的な動きを残していた。また中期以降、藤井郁弥の身体の柔軟性も格段に増したと思う。そんなこんなが、案外大きく寄与して、延命したのではないかと、私は考えている。

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