ザ・カセットテープ・ミュージック

スージー鈴木のボーナス・トラック

2017年10月06日放送

第1回「20代の若き桑田佳祐による珠玉のシャウト!」

■サザンオールスターズ『Bye Bye My Love (U are the one)』

  • 作詞・曲:桑田佳祐
  • 編曲:サザンオールスターズ&リアル・フィッシュ


1985年5月29日
拙著『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)に書いたように、私は85年の8月に発売されたシングル=『メロディ(Melody)』を初期サザンの頂点とする立場を取るが、売上枚数で言えば『メロディ』は24.9万枚であり、この、3か月前に発売されたシングル『Bye Bye My Love』は37.1万枚と、結構な差が付いている。

今となって冷静に聴いてみると、この曲と『メロディ』の差は「キャッチーさ」である。奇天烈なサックス・ソロなど、実験音楽のような複雑さを含んでいる『メロディ』に対して、こちらの方は「異常にキャッチー」と表現してもいい。

「♪いいことだよね You are the one」のあたりの、やたらと印象的なメロディや、聴き手の胸を掻きむしるような、最後の「おぉ、いぇぇぇぇ!」の絶叫など、一度聴いたら忘れられない。また、歌詞も、「誰かに抱かれてる」女を想う、強烈な絶望感が、びんびんと伝わってくる。

この曲と『メロディ』が入ったアルバム『KAMAKURA』は、2枚組ということもあり、とっ散らかった印象を与えるものだが、そのバラバラした曲群を取りまとめる「芯」となっているのは、この曲の持つ「キャッチーな絶望感」だと思う。


■サザンオールスターズ『いなせなロコモーション』

  • 作詞・曲:桑田佳祐
  • 編曲:サザンオールスターズ


1980年5月21日
いわゆる「ファイブ・ロック・ショー」の中の1曲。「ファイブ・ロック・ショー」とは、80年、サザンがテレビ出演を自粛して、レコーディングに専念する形で作った5枚のシングル群のことである。付け加えれば、「5枚の『売れなかった』シングル群」。

この曲も売上枚数がたったの9.8万枚。71万枚を売り切った『いとしのエリー』の翌年のシングルとしては、あまりに寂しい。そして「やっぱりメジャーにやらねば」と奮起して作ったのが、翌々年の『チャコの海岸物語』となるのだが。

ただし、セールスとクオリティは、ポップスにおいてはしばしば無相関である。この「サザン風ロックンロール」は、抜群に素晴らしい。

ポイントは、圧倒的な演奏である。特にこの曲では、関口和之のドライブするベースが全体を牽引している。あまり指摘されないが、初期サザンは、当時の日本ロック界の中で、演奏水準がかなり高いバンドだった。

あと単なる3コードのロックンロールではなく、コード進行が異様に凝っているあたりもサザン風だ。「俺たちゃキャロルとは違うんだ」という、24歳の桑田青年の心の声が聴こえてきそうな音である。



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