崩壊から再生へ…ミランと本田の今季統括と来季を占う

率直に言えば、1986年に始まったシルヴィオ・ベルルスコーニ体制によるミランにあって、今季は史上最悪のシーズンとなる可能性が高い。
第34節ナポリ戦を終えたミランのリーグ戦勝率は29%に留まる。これまで最低とされてきた96年から始まる2年の暗黒期に記録した32%を下回る数字だ。
シーズンの残り4試合に全勝したとしても勝ち点は「55」に過ぎない。昨季の57点を下回ることはもちろん、セリエAが20チーム制に移行した2004-05シーズン以来最低記録を更新しそうだ。
1年目の監督フィリッポ・インザーギとイタリアで初めてのフルシーズンに臨んだMF本田圭佑ら選手たちの戦いぶりは、ジェットコースターのように激しく上下動した。

ラツィオに快勝した開幕戦からの序盤戦、新たに3トップの右サイドFWへコンバートされた本田は躍動した。第7節ヴェローナ戦までに6ゴールを叩き出し、FWジェレミー・メネスとともに新生ミランの攻撃陣を引っ張った。
だが、期待されたFWフェルナンド・トーレスやMFマイケル・エッシェンら新戦力が期待外れに終わり、FWステファン・エル・シャーラウィや主将リッカルド・モントリーヴォといった主力が次々に戦線離脱。中盤のビルドアップ能力不足を解消しないまま中盤戦に突入した、インザーギの4-3-3は急速に神通力を失った。
クリスマスの直前、強豪ナポリとローマ相手に1勝1分とした時期には一度ミランは盛り返したように見えた。しかし、本田がアジアカップ出場のために不在だった今年1月の5試合に、4敗1分という大惨敗を喫し、チームは建て直しのチャンスを逸した。
冬に補強したDFルカ・アントネッリやDFガブリエル・パレッタら守備陣はそれなりに順応したが、FWアレッシオ・チェルチはチームにフィットせず、FWマッティア・デストロには満足にプレー機会が与えられず終いだった。
本田も4月頭に左足首の捻挫で一時欠場するなど苦境に立たされたが、シーズンの終盤戦で再び先発に名を連ね、名門クラブの矜持を見せるべく奔走している。
先日3日に行われたナポリ戦で0-3の完敗を喫したインザーギは、(代表招集や故障で)15人も主力選手を欠いた1月と2月に悔いが残る」と、試合後に少し早目の終戦宣言ともいえるコメントを残した。
ナポリ戦では、DFマッティア・デ・シリオが今季のリーグ最短記録となる試合開始49秒で退場していた。苦戦の度合いはより高まったが、チームはナポリの強力攻撃陣を相手に前半を無失点で耐え忍んだ。その上で、インザーギは「10人になったときに見せたスピリッツを、シーズンの最後まで見せてほしい」と訴えた。
ミラン愛に満ちた指揮官の魂の懇願は、きっと自ら率いることのない来季のチームにも向けられている。選手として移籍した2014年前の夏以来、ずっとともに戦ってきたクラブを、インザーギは今季終了後に去るだろう。 ミランはホームのサン・シーロでも逆風に晒された。長引く低迷にしびれを切らすクルヴァ・スッド(※ミランのウルトラスが集う南側ゴール裏席)では、毎試合のように経営陣批判の横断幕が掲げられた。 オーナーのベルルスコーニは、タイ人ブローカーに率いられた投資グループと中国資本グループのいずれかに、クラブ株を譲渡する交渉を進めている。われわれは、一つの時代の終焉を目撃しようとしている。 ミランという名門の端境期に、本田圭佑という日本人プレーヤーが10番を背負って戦い続けた事実は未来永劫変わりない。歴史の分岐点に居合わせた本田は、どんな形であれ、クラブ史に名を残す証人となるだろう。
来シーズンのミランの形は、まだ朧気にも見えない。ただ、1996年から低迷した2シーズンの後、クラブはザッケローニ監督の下で再びスクデットを獲り、指揮官アンチェロッティの下で2000年代の黄金時代を築いた。
崩壊と再生をくり返しながら、本田のサッカーもミランも続いていく。2015-16シーズンに臨む今年の夏、本田は挽回を期してミラネッロへ姿を現すはずだ。








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